【3104 Birthday Box】 1126 BD 2015 (ページ8)

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僕はがんばった。

１１歳の少女が誘拐されて切り刻まれた事件。

絶対に許せない。

僕の手であげられなきゃ、自分を許せない。

がんばってがんばってがんばって…そして失敗した。

犯人を逮捕一歩手前まで追い詰めたのに…取り逃がしてしまったのだ。

その時初めて、大野さんは僕の方を見た。

大野さんの目には労りが宿っていた。

自分の事件(ヤマ)を解決しようと全てを賭けた僕への、哀れみでなく、労りの念だった。

僕は彼が、自分を刑事として認めてくれたのがわかった。

同じ傷を背負うことになる同志として、大野さんは僕を認めてくれた。

いくばくの尊敬の念、そしていくばくの親しみ。

それ以来ようやく、彼は僕のことを相棒として扱うようになった。
　

ポジティブにではなく、ネガティブな肯定で。

「相葉さんはあなたの正式な相棒じゃないんでしょ？じゃあ大野さん、おれと組んだらいいじゃないですか」

もともと大野さんを尊敬していた二宮は、僕を横目に見ながら大野さんにそう言った。

二宮は、相棒の櫻井が逸脱した犯人逮捕で数日前から停職になっていて相棒がいない。

煮詰まっていた二宮にそう言われても、大野さんは肩をすくめてこう言い放つ。

「いや…二宮、お前とは組まない」

そして僕に背中を向けたまま、こう言った。

「相葉、キーを持ってこい。出かけるぞ」

僕は車のキーをひっつかんで彼の後を追った。

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