【3104 Birthday Box】 1126 BD 2015 (ページ44)

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「智くん、邪魔だよ」

ペットボトルとコップを２つ抱えた櫻井が大股で物を避けながら近づいてきて、大野に声をかけた。

「いいじゃん。しばらく堪能させて。このオンボロ部屋をさ」

「オンボロは余計でしょ」

猫のように伸びをする大野の身体を大きく跨ぎ、櫻井はその足元に腰を下ろした。

「…このお茶かよ」

ラベルのない微妙な色味の2Lのペットボトルに大野は顔を顰めた。

何度目かの煮出した茶葉で作ったお茶は、色のついた水の味でしかない。

「文句あるなら、飲まなくてよし」

「せめて、どっかのテレビ局の楽屋からもらってきたお茶とかないの？」

「あるけど、それはとっておきの日のためにとってあるの」

「…それ、いつの日だよ…」

グラスに注がれた液体に、大野はしぶしぶ口をつけた。

二年前までの極貧時代の話をバラエティ番組で話題にされる時以外では

この飲み物を受け入れている人間は、櫻井以外には自分しかいないと思う。

何度飲んでも美味しいとは思えないが

これが世の中から無くなってしまったら、あえて自分で作りはしないが、きっとさみしい。

「…翔くん俺、ウェルチのオレンジジュース、飲みたい」

「は？それはどこの世界のものですか？」

「このオンボロ部屋の外にある、まともな世界…まっずぅ」

一言抗議して、また口に含んで笑った。

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