8 ページ33
・
「大野お前さあ、櫻井に執着しすぎなんじゃないの？」
アルコールの入った松岡の口調には、むしろからかいの調子が含まれていた。
「執着なんてしてないです。だって俺、アイツが辞めるって言ったら、すぐ解散するつもりだし」
「ふうん。ホントかねえ」
「何すか」
「お前また、太一に相談したろ？」
国分太一は松岡とともにお笑いコンビ『TOKIO』の相方芸人で
松岡とともにバラエティ番組などにちょくちょく顔を出す売れっ子芸人だ。
大野と櫻井は金に困ると『相談がある』と、もっともらしい理由をつけては国分に食事の席を設けてもらって、焼肉などをおごってもらっていた。
「違いますって。あれは…腹減っててぇ…相談したいって言ったら、太一くん、おごってくれるから」
大野の言葉に、松岡は手を叩いて笑った。
「ひっどいヤツだなぁ。お前ら。太一のやつ、マジで心配してたのに」
「俺、最近、上手に嘘をつくのに、何パーくらいのホントを入れればいいのか、わかってきた気がすんですよね」
急にビールを咽喉に詰まらせた松岡が、咳をしながら大野を見る。
「…性根腐ってんなあ、大野。もしかして、俺も今、たかられてんの？」
「たかるって、今日は松岡さんから連絡くれたくせに、ひどいじゃないっすか」
口を尖らせた大野に松岡は笑い、ビールを飲み干した。
大野は松岡に更にツッコミを入れながら、ちらりと自分の携帯を見た。
着信を知らせるライトは点いていない。
それでも確かめたい気持ちだったが、視線を引き剥がした。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1020人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ありはる
| 作成日時：2015年11月12日 22時
