【3104 Birthday Box】 1126 BD 2015 (ページ30)

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Side S

二人の出会いは高校一年の春。

同じクラスで成績トップの委員長と、留年ギリギリの問題児。

それでも何だか気が合って、いつも二人は一緒にいた。

高校2年の修学旅行の夜。

旅館の部屋で馬鹿話を夜中までしているうちに、早々に眠ってしまった大野のパジャマが捲れて

思いのほか白い腹の色と、ちらりと見えた薄桃色の尖りにどきりとした。

慌てて肌蹴たパジャマを直していたら、悪友どもに『お前は大野の母ちゃんか』と突っ込まれた。

それからしばらくの間、大野を目の前にすると、動悸、息切れ、眩暈という謎の発作を起こしてしまって、真剣に悩んだものだった。

三年の冬に櫻井が早々に志望校に推薦入学を決めたころに

大野は「俺、漫才師になる」と笑顔で宣言した。

大学生になって、もうそろそろ就活しなくちゃ…と思っていたころに

何人目かの相方と喧嘩別れをした大野がひょっこりと目の前に現れて

「翔くん、俺と漫才やんねぇ？」と誘われて

…約束されていた輝かしい櫻井の未来は、三年後の現在

オンボロアパートの隅に転がっていた。

「大野と一緒に漫才師になる」と言った両親の驚いて呆けた顔は、未だに忘れることができない。

官僚の父親と大学教授の母親。

偏差値の高い大学も優秀な成績を修めていた。

ゆくゆくは父と同じの官僚か、違っていても大手の企業か、それとも親戚に多くいる代議士になるかと言われていたのに。

その日をさかいに、実家には勘当されてしまった。

それでも、大野と一緒にいられるのなら

櫻井にとってはそここそが、彼の居場所なのだ。

二人で漫才をやっていく。

それこそが、二人の宇宙の真理だと信じていた。

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