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「潤、どうかした？」
「え？」
「いや、俺のことじーっと見てるから、何か言いたいことでもあるのかと思って」
あ、うっかり凝視してたか。
網膜に意識がいかないのは俺も同じか。
「いや、あの、えーと、ああほら！前にさ、ブライアン・イーノのCD借りたいって言ってなかったっけ、智」
「あ、うん…それと、ピーター・ガブリエルとか…マイク…なんだっけ?」
「マイク・オールドフィールド?」
「そう、それ。聞いてみたいな」
「り…了解」
誤魔化すように立ち上がって、日本から持ってきたCDの山をガチャガチャと引っ掻き回した。
「うあ、あああ!」
手から滑り落ちて派手な音を立てた。
かっこ悪。
「いいよ潤、座ってて。CDなんかいつでもいいから」
素早く側に来て、CDを手早く拾ってくれた。
さっきから水割り３杯飲んでなかったっけ。
年は少ししか違わないのに、なんでそんなに早く動けるんだろう。
と、ぽかんとしてる俺の背中を押して、ソファーへと導いてくれた。
「やっぱり疲れてるんじゃない？もう休めば？」
「いや」
食い下がる俺に、智は口を尖らせた。
かわいい。
「智がそこに居ると」
ブライアン・イーノの曲をかければ良かった。
「すごく疲れが取れるから」
智は、また自分の顎を撫でたり頬を摩ったりした。
どうやら、昨日よりずっとずっと距離が縮まったようだ。
できれば、次は目の前のテーブルの距離を縮めたかった。
そうできたら、俺はどうするだろう。
それは
その時考えればいい。
ツヅク
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作者名：ありはる
| 作成日時：2015年11月12日 22時
