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ついでに言えば、時代劇でいつも殺陣のエキストラとしてお世話になっている斬られ役で有名な福本さんも居る。
なんだか時々現実味が薄れる。
ここは日本なのか外国なのか。
なんで俺はここに居るんだろうかって。
しかし撮影はハードで、カメラが回っていない時でも緊張を強いられて
その精神的苦痛と肉体的苦痛が、否応無く現実を突き付けてきた。
だが、それを共有するが故の連帯感も生まれた。
うまくいった時の快感は格別だった。
智は、…いや最初はまだ遠い昔の印象が残っていて、大野さんと呼んだんだが「智でいい」と、笑った。
俺の事はみんなが呼ぶように潤と呼んでくれた。
俺が思う智の物静かだと感じた部分は、観察するにどうやら気を使っているが故の大人しさだと気付いた。
相手がどんな人間なのかを探って、失礼にあたらないような答えを導き出そうとする怜悧さだった。
彼は何というか、とても勘が鋭い。
それは天性のものという気がする。
非常に有り難かったのは、役者の話しがまるで添うように、感じる事考える事が似ていて共感できた事。
まるで打つと、俺が望んでいたような美しい響きが返ってくるようだった。
そのせいで、いけないと分かっていても夜遅くまで役者談義が続く事もあった。
彼も酒が入って熱くなると、よくしゃべった。
なんだかそんな日を幾日か過ごすと、まるで旧知の友のような気安さが生じる。
知り合いは多いこの業界、はっきりと「友達」だと言える人がこんなに短時間に出来るのは、希有な事だった。
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作者名：ありはる
| 作成日時：2015年11月12日 22時
