【3104 Birthday Box】 1126 BD 2015 (ページ2)

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外に出れば何かしら金がかかるから、家に閉じこもってスケッチブックに無心に描くことにする。

瞬間的にひらめいて描き上げるような器用なタイプじゃない。

じっくり練ることが必要…時々練り過ぎて、何がいいのかわかんなくなるけど。

没頭して時間が過ぎて、空腹も忘れて…それはありがたいことだ…1日が経った。

ひと段落ついて、ふと空腹と咽喉の渇きに襲われた。

立ち上がった途端、軽く眩暈に襲われ壁に手をついた。

やばいやばい。

とりあえず水道水を飲んで腹を満たして、最後の手段…つまり翔君に頼ることに決めた。

翔くんの家はそれほど遠くないから歩いていくつもりだったけれど、身体が重くて思うように動かない。

無事に辿りつくことができるか、だんだん自信が無くなってきた。

あ、やば…

視界が一瞬暗くなって倒れかけた俺を引き上げてくれたのは、見知らぬ男だった。

「大丈夫？」

「あ…はい」

「具合悪いの？」

「いえ。…単にメシ食ってないだけなんで大丈夫です…」

顔から火が出るってこのことなんだなって思うくらい恥ずかしかったが、もう遅い。

俯いた俺を半ば引きずって、男は近くの公園のベンチに腰掛けさせた。

「え…と、何か食えばいいのかな？買って来ようか？」

「いや、結構です。俺文無しなんで」

こんなことを初対面の他人に告白しなきゃなんないなんて。

「いいよ。おごるって。そこのコンビニ行って来るからさ、何か食べたいものある？」

男は笑って言う。

このご時世に文無しなんて、物珍しいのかもしれない。

「あ、いや、いいです」

「じゃ、適当に買ってくるから。待ってて」

俺の返事などろくに聞きもしないで走り出した男の背中を、俺は呆然と見送った。

しばらくして男は大きなビニール袋を提げて戻って来た。

「いやぁ、何がいいかわからなくてさ。どう？食べられそうなものある？」

ニコニコ笑うその顔は俺とあまり変わらないか、少し年上くらいだろうか？

スーツ姿から察するにごく普通のサラリーマンってところだろう。

「いや、でも」

「こんなにたくさん、俺１人で食うのも無理じゃん。君手伝ってよ」

俺が何と言おうと引く雰囲気ではなかった。

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