我が道往くは銀紫の蝶 (ページ4)

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2話「うたた寝」ページ4

代表選手は皆荷物をまとめてバスに乗った。同じ学校出身の者たちで固まり、楽しそうな声で溢れる車内で零破は窓の外を眺めていた。

銀で縁取られた深い紫の瞳は空虚を見つめる。

ふいに声をかけられた。
それに反応して振り向くとツンツンとした特徴的な髪と丸く大きな緑色の瞳を持つ少年が目を輝かせていた。

「あの！さっきモニターに映ってたプレーすごいかっこ良かった！あの突破力を武器にしてるの？それにボール捌きも凄かった！」

「あ、あぁ。…ありがとう？」

目を輝かせている少年、稲森明日人の勢いに押されて零破はぎこちなくお礼を述べる。
そして明日人に便乗し他の選手も話しかけてきた。

「これから一緒に闘えるんだな。」

「あのテクニックはどうやって取得したんだ？」

「こんな人と同じチームなんて心強いです！」

零破は次々と投げ掛けられる言葉に少しあたふたするがそこには嬉しさが滲んでいた。

しばらくすると質問に答え疲れたのか零破は眠気を感じ始めた。窓側に体を傾け瞼を閉じた。微睡みの中で見た景色は久しぶりに幸せを噛み締めることが出来るものだった。

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弟から言われた客観的なアドバイスと父親から教えられたドリブルのコツを使って弟を追い抜く。

「姉さんはさ！なんでそんなに力あるわけ！？
突破力高すぎ！足だって速いしさ！！」

「うーんと、心臓がドキドキして！ドクン！ってなってシュンッってしたらこうなった！」

「…うん？あー、そっか？」

「分かってないでしょ！楽しいって思いながらしたら自然とこうなるの！計人はそれが足りないんじゃない？」

悔しがる弟にいたずら心を含んだ笑顔を向ける自分。頬を膨らました彼は年相応だった。

広い庭での日常。胸が痛むほどに幸せだった。

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視界が揺れ、意識が浮上する。

「あの、もう目的地に到着しましたよ！！」

自分を呼ぶ声に導かれ瞼を開く。目の前には美しい青。ふんわりとした髪が弟と重なりソッと手を伸ばす。

「起きてください！」

「ｯ！？あ、すまん。着いたのか。」

はい！と元気の良い返事をする彼、一星充は他の全員が既にバスを降りたことを私に伝えた。
意識はまだ少し揺れるが、カバンを持ちバスを降りる。外では周りの景色を眺める者やこれからに向けての意気込みを宣言する者などがいた。