我が道往くは銀紫の蝶 (ページ3)

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1話「開幕」ページ3

ここは中学生サッカー日本代表選考会の会場。そこでは既に代表選手の名前が呼ばれ始めていた。自分の名前が呼ばれるのを柄にもなく願っている。

FW
影山零破

確かに呼ばれた自分の名前。
零破はいつもと変わらず無表情のままだったがその瞳には静かな闘志が宿っていた。

扉が開かれると自分の周りにあった白と青の風船が外へと流れて飛んでいく。濁りない青が少し眩しく感じて目を伏せる。
緊張を解くために深呼吸をするが心臓は依然として速く脈打ったまま。

私の隣にいるやつと私の目的は異なっているだろう。私がサッカーをする理由を知れば、私の父親を知れば、皆揃って顔を歪めるだろう。
だとしても、別に構わない。
今までのように点を取って勝利を目指すだけ。

そんな彼女を遠くから眺める者が四人いた。

「彼女が影山の娘か。」

「あぁ、そのようだな。」

「害はなさそうだな。」

「影山の子供だとしても別に構わないさ！代表選手になるくらい頑張って特訓したんだ！サッカーが大好きな奴だと俺は思う！」

影山零治と因縁のある旧雷門の四人だ。
しかし、彼女を警戒している様子はなかった。