昔の記憶 三 ページ25
A目線
この人が何を言っているか、理解ができなかった。
「何をしているんだい、早く打ち給え。
でなければ二人で仲良く空に行ってしまうことに
なるよ?」
そう僕の頬を撫でながら言うおじさん。
「..もしかして打ち方がわからないのかい?
簡単だ、引き金を引けば良い。
お母さんの胸に向けてね。...君達のことだ、何か
あった時のためとか言ってそのくらい教えていると
思ったんだが...。 もしかしてこの子には事情を話して
いないのかい? まあ良いだろう、後で私が話して
おいてあげるからね。...ほら、A君。」
そういい背中を軽く叩かれる。
銃を持つ両手が震えた。
『僕が母さんを殺す? どうして?』
ただそれだけが頭の中で回っていて。
「...できませ、ん」
と銃口を母さんに向けたまま震えた声で呟いた。
「..仕方ないね、それじゃあ二人仲良く___」
「______A、打ちなさい」
おじさんが僕の首に小さなナイフを当てると
黙っていた母が口を開いた。
「でも」という僕を黙らせるかのように
「良いから」と母は僕を見た。
それでも怖くて、いつまでも引き金を引けない僕に
真っ正面に立っていた母がこちらに近づいてくる。
何をされるのか、と思い強く目を瞑る。
...すると、こんな状況だというのに母は僕を抱きしめた。
「...A、A、A。
ごめんなさい。小さい貴方にこんなことを押し付
けてしまってごめんなさい。父さんとお姉ちゃんを
守れなくてごめんなさい。...だから、だから。
せめて二人を守れなかった分、貴方を守らせて
くれる? ..お願い、母さんを打って。
最後のお願いだから..」
そう耳元で囁く母の声は震えていて。
...母さんはずるいと始めて思った。
そんなことを言われて断れるわけないのに。
...泣きながら抱きしめ返す。
しばらくして僕から離れ、また僕の前に立った母の
胸に銃口を向ける。
「ぅ”ァアァ”あ____!!!!」
泣き叫びながら引き金を引く。
瞬時に放たれた球は母の胸を貫いた。
血溜まりの中で眠る母に、ただひたすら泣くこと
しか出来ない自分が悔しかった。
「...お見事。それじゃあ行こうか、君の職場へ。」
そういい、力をなくした僕の腕を引くその人を。
....後に”首領”と呼ぶことになるだなんて、
その時の僕は考えようともしなかった。
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ししゃも(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!更新待ってます! (2022年8月1日 18時) (レス) @page28 id: 4d9c9f1a17 (このIDを非表示/違反報告)
科学(プロフ) - こちら新しいアカウントです。よろしくお願いします。 (2018年2月28日 21時) (レス) id: 3cbc0a3d50 (このIDを非表示/違反報告)
科学(プロフ) - 詩猫さん» コメントありがとうございます! が、頑張って更新します....!!!!! (2017年12月22日 19時) (レス) id: 94cd103a57 (このIDを非表示/違反報告)
詩猫 - 面白いです!続きが気になってうずうずしてます笑。 (2017年12月22日 19時) (レス) id: a5e208826f (このIDを非表示/違反報告)
科学(プロフ) - るきさん» わわ、ありがとうございます...!!頑張ります! (2017年8月22日 0時) (レス) id: 94cd103a57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:科学 | 作成日時:2017年3月14日 17時