☆（ymmt） ページ10
side:ymmt
(はぁ…昨日Aちゃんから返信なかったなぁ…)
そんなことを考えながら、重い足取りで会社へと向かう。
心の中は曇天なのに、皮肉なことに現実の空は雲ひとつ無い快晴で少し腹が立ちそうになる。
1人で心の中で葛藤しながら信号待ちをしている時、一人の女性がふと視界に入る。
(あれって…Aちゃん？)
見間違えるはずがない。だって僕の想い人であり、今1番会いたい人なのだから。
ただ偶然見かけただけ。それだけなのに僕はなんだか運命を感じてしまったのだ。それもそのはず、今日Aちゃんは休みなのだから。
(こうしちゃいられない…！)
僕は、スマホを素早くズボンのポケットから取りだし一通のメールを丁寧に書き、送信した。
(今日は少し体調が優れないので、大事をとって休ませていただきます。っと)
送信ボタンを押したと同時に、信号機の色が変わる。
僕は、バレないようにAちゃんの後を追った…
−−−−−−−−−−
後を追って着いたのは映画館。なんとも意外な場所で少し驚いた。
(映画…何見るんだろう…)
後ろを着いていくと、電子の映画チケットで1枚のチケットを購入していた。
幸い、平日の映画館は空いていたため真後ろから内容を見ることが出来た。
(10時38分からの1番後ろの列か…)
僕は、素早く隣のチケット売り場に移動し同じ時間の隣の席をとった。
(これで…Aちゃんと一緒だ！)
僕は、目の前にいるのに話しかけられないこの状況にもどかしさを覚え、ついに話しかけてしまった。
ymmt「あれ？Aちゃん？」
『祥彰さん…昨日返信してなくてすみません…』
ymmt「んーん！全然大丈夫！昨日忙しかったんでしょ？」
そう言いながらにこりと微笑み掛けた。わざわざ謝ってくれるなんて、どれだけ礼儀正しくて優しいんだ…
『ありがとうございます！…祥彰さんは今何してたんですか？』
ymmt「僕？僕はねぇ、映画を見るところだよ！」
さっき覗き見たAちゃんと同じ映画のチケットを取り出して見せた。
『私もその映画見ようと思ってたんです！』
興奮気味で映画のチケットを取り出す君がなんとも愛おしくて…
『あれ？席隣同士じゃないですか？』
ymmt「あ！本当だ！じゃあ、一緒に見れるね！」
そう言うと、少し不安そうな顔をした。
ymmt「わ、あんまり時間ないね！急ごっか！」
それを誤魔化すかのように、Aちゃんの腕を少し強引に引っ張った。
(これから120分…楽しみだなぁ…)
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作者名：モニ | 作成日時：2022年1月21日 23時
