七者択一を迫られて…（続 all） (ページ11)

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☆（ymmt）ページ11

映画館は平日だからなのか、僕たちの他には5,6人程度しかいなかった。

しかも、結構前の方に集まっていてすごく好都合だ。

(2人っきりみたいだ…)

心臓の鼓動が段々と早くなっていった。

　ymmt「やっぱり映画は1番後ろだよね…」

「そ、そうですね…いちばん見やすいような気がして…」

席に座った時から、Aちゃんの様子がおかしい。何故か少し離れようとしているような…

(もしかして嫌われた…？あれ、それとも偶然じゃないのバレてたかな…？)

心の中で軽いパニックになる。

　ymmt「Aちゃん…？」

『ひゃっ…！あ、いやもうすぐ始まりますね！』

(今の反応の仕方はもしかして…)

ある仮説をたてた時、辺りが暗くなり始めた…
－－－－－－－－－－
映画が半分くらいすぎた頃だっただろうか？

隣で鼻をすする音がかすかに聞こえてくる。

チラッと隣を見ると、Aちゃんがかすかに涙を流していた。

　ymmt「Aちゃん大丈夫…？」

『すみません…大丈夫です…』

　ymmt「悲しくなっちゃったの…？」

『ちょっと、主人公に感情移入しちゃって…』

(映画で感情移入して泣くとか…可愛い…)

少し泣いただけでも可愛らしく思えてしまう。こんな僕は重症だろうか？

　ymmt「そっかぁ…」

ふっと、映画が始まる前に立てた仮説を思い出す。

(とりあえず…泣いてる状況をどうにかしないと…)

『ちょっ、祥彰さん…！？』

　ymmt「悲しくないように手、繋いどくね？」

さりげなく指を絡める。よりAちゃんと密着して、僕は既に興奮状態だった。

(これだけじゃないんだった…)

　ymmt「ねぇ、Aちゃん…」

なるべく吐息が多く混じるように耳元で呼びかける。

『んんっ！』

　ymmt「やっぱり…Aちゃん耳弱いでしょ？」

そういった時だった。いきなり、Aちゃんが席を立ち僕の前を通り過ぎようとする。

(そっちの方向は…出入口…！？やばい…帰っちゃう！)

そう思った途端、反射的にAちゃんの服の裾を引っ張る。

すると、重心が崩れて僕の膝の上に座った。

僕は即座に腕を巻き込みながらハグする形でAちゃんを固定した。

『よ、祥彰さ…』

　ymmt「ねぇ、逃がさないよ？」

どうして僕が愛していることが伝わらないかな？どうして逃げようとするの？あぁ、もういいや。伝わらないなら全部言っちゃえ…