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「美山さん」
低く落ち着いた声が、隣の席から聞こえた
つまらない授業に飽きて、寝ようと思い机に伏せていた身体を起こし、声の発信源を見つめた
前髪センター分けの、整った顔立ち…
入学式、隣の席がイケメンだと喜んだのを思い出した
喋る機会なんてないと思ってたけど……
『はい』
動揺せず、落ち着いて、返事をした
「その下に落ちてる塩キャラメルって、美山さんの?」
私の机の下を指差す、えーと…えーと…
名前、忘れた
取り敢えず、慌てて私は自分の机の下を覗いた
『あっ』
あった、本当にあった。
私が最近ハマっている塩キャラメル
個包装のやつを鞄に雑に入れてたから、落ちちゃったのかな…
『私の、です』
そう言って机の下に手を伸ばそうとした
「いや、俺がとる」
が、そんな言葉が聞こえ、先に手が伸びてきた
『あ、ありが……』
「ねえ」
『?』
「これ、俺がとったから、貰ってもいい?」
『い、いいけど…汚いよ、新しいのあげる』
突然何を言うんだと焦ったけど、拾ってくれたお礼として、新しいのを渡そうとする
が、すでに塩キャラメルは個包装を破かれ、彼の口の中へ
『あ……』
塩キャラメルを口に含んだ彼は、心なしか口角が上がってる
後ろの席だからまだ良かったけど、前だったら先生に怒られてただろうに……
なんとなく
なんとなくだけど、口が開いた
『君、塩キャラメルすきなの?』
彼は少し目を開き、
「好きだよ。人並み以上には」
そう言って少し微笑んだ
か、かっこいい……
少し見惚れてると、彼は口をあけて
「あと、俺の名前は国見英だよ、よろしくね、美山Aさん。」
『!』
そう言うなり、握手を求めてきた
あまりに恥ずかしいので、よろしくと言って、おそるおそる手を伸ばした
これが私達の、出会い
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作者名:にょにょ | 作成日時:2020年4月2日 17時