君のためなら ページ23
織山side
ファンの人やメンバーに
「織山尚大は田村海琉より凪良Aに甘い」
って言われている。
確かに、海琉に甘い自覚はある。可愛いもん。
Aには甘いんじゃない、特別な存在って言い方が正しいのかもしれない。
親身になって話を聞いてくれて、人一倍責任感があって、誰よりも優しくてメンバー思いで。
これ以外にもたくさんあるけど、一番の理由は忍者の華のAにずっと咲き続けてもらいたいから。
このことを強く思うようになったのは、あの日からかな。
忍者を組んですぐのこと。
男しかいない世界でも引けをとらない表現力。
こんなに凄い人と一緒に活動できていることを嬉しく感じると共に、追いつけるようになろうと決心したときでもあった。
いつも通りレッスンが終わってみんな帰りの支度をしようとしているとき。
俺はもう少し練習しようと事務所に残って、スタジオの扉を開けたときだった。
すぐに気がついた。
Aが苦しそうに壁に寄りかかっているところを。
俺は一目散に駆けつけた。
織「Aっ！Aっ！大丈夫⁉︎」
苦しそうにしていたAが顔をあげた。
凪「…お、り､､､？」
織「そうだよ、大丈夫？」
凪「うん、大丈夫､､､」
そう小さな声でいった。
織「全然大丈夫なように見えないけど､､､」
そう聞くとAはゆっくり口を開いた。
凪「もともと、体弱くて。だけど、練習しないとみんなに置いていかれちゃうから､､､」
今にも消え入りそうな声で教えてくれたA。
そんな姿をみて放っておくことはできなくて、俺は今よりも強くAの肩を抱き寄せた。
織「そんなに頑張らないでよ､､､」
なんだよ、俺。
もっと気の利いた言葉かけられないのかよ。
気が利かない自分にイラついていると、優しいAの声が聞こえた。
凪「心配してくれてありがとう」
びっくりしてAをみた。
いつもの大好きな笑い方だ。
そして、Aは俺の目を見て話し出した。
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作者名：祢音 | 作成日時：2023年6月25日 22時
