ろく ページ7
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余命宣告から早一ヶ月が経つ頃、
俺はちょっと困り事が出来た。
そう、死んでからの後始末の事について、
生憎、後のことを頼める家族はもういない。
かと言って何も行ってないゼロにも押し付けるのもアレだし…。
『まぁ、そんなのいつでもいっか。』
まあ、正直に言うと俺が死んだら困り事全て消えてなくなるしな。
もう、困り事は全部捨ててやる!
俺は開き直り薬を常備して外を出歩く。
今日は良い天気だ。
俺も心底から快晴でいい気持ちだ。
悩み事なんかその辺に捨ててきたからね。
・
『ゴホッゴホッ…』
最近、薬が効きづらくなってる。
そう感じている。
だから薬を飲む回数を増やしてる。
「あの、大丈夫ですか?」
ふと、後ろから話し掛けられた。
声からして女性だと分かる。
『あー…、大丈夫です、ちょっと水が気管に入っちゃって…』
振り返れば帝丹高校の制服を着た女子高生二人だった。
「やだっ、結構イケメン!」
『はは、お褒めの言葉ですね…。
あ、そうだ。この辺に休める場所ありますか?喫茶店でも良いんです。』
「あ、だったらポアロがあります。近くなので案内しましょうか?」
『えぇ、是非お願いします』
女子高生に案内されたのは、
アイツが仮に働いてる喫茶店だった。
(風見から聞き出した)
『(いるかな…)』
カラン…
「いらっしゃいませ、あ、蘭ちゃん!園子ちゃんも!」
「こんにちわ、梓さん!」
「今日は、安室さんは…」
「今日はシフト入ってないわね…」
「えー、ざんねーん。」
「ところで、そちらの方は?」
『あ、奏Aです。彼女達からは此処まで案内してもらったんです。
ありがとう、助かるよ。お礼に飲み物奢りますよ。』
「え、良いんですか?じゃあ、梓さん、アイスティ!!」
「じゃあ、私、オレンジジュースを…」
『お茶ってありますか?』
「麦茶でしたらありますよ。」
『じゃあ、それと…サンドイッチを』
彼女達と同じ席に座って少し雑談を始めた。
「奏さんって彼女とかいるんですか?」
『んー…いないよ。』
「えー、もったいない!なんで作らないんですか?」
『今作っても…変わらないしね…』
直ぐこの世からいなくなるし、今作っても彼女を泣かす事になる。それだけは避けたい…。
「お待たせしました、アイスティとオレンジジュース、麦茶とサンドイッチです」
サンドイッチを1個取り出し後は彼女達にあげた。
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作者名:Rye?Bourbon x他1人 | 作成日時:2018年4月23日 7時