ビターチョコデコレーション。2 (ページ19)

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自我を晒さぬように。ページ19

あ「気配感じなかったんで、びっくりして...」

というか、自分自身が余裕がなくて気が付かなかっただけ。普段の私ならそんな事ないのに。

...どうやら今の私は相当焦っているらしい。

深「気配ないって芸能人に酷くなぁい？笑」

あ「えっあ、いや、そういうつもりじゃなくて」

ほんとに頭回ってない。これ以上言葉が続かずアタフタしていると、

分かってるよとにこやかに口元を緩ませ、

深「これ、どんな状況なの？」

と翔太さんを親指で指す。

あ「帰り道の途中で寝ちゃって...起こそうとしてたんですけど、噂通りなかなか起きて貰えなくて」

自傷気味にヘラっと笑ってみせる。

"困ってます。助けてください。"その言葉は飲み込んだ。

？「一言私に言いなさいよ！」

？「相手のタイミングなんて気にせずに言いたい時に言えばいい良かったのに」

？「あんた何考えてるか分からない」

困ってますなんて言えない。きっと私は一生...

ふとそんな前職場の事を思いだした。

深「Aちゃん？」

あ「あ...ごめんなさい。時間迫ってますね」

考え込んで動きが止まった私を見兼ねてだろう。控えめに名前を呼ばれて我に返る。

ふっかさんにバレない程度にふぅと一息ついて改めて翔太さんを起こそうと肩に手を伸ばしたら

深「翔太ー、起きろって」

ふっかさんがガっと効果音が付きそうなほど翔太さんの肩を掴んで揺らしている。

あ「あっ、えっ」

深「困ってる時は人に頼っていいのよ～？」

ふんわり笑うと片手で頭をくしゃっと撫でて、半ば強引に翔太さんをたたき起こした。

渡「...あ？ふっか？なんでいんの...？」

寝起きちょっと怖め...？笑

深「お前が起きないからだよ笑さっさとしねーと照と目黒がお待ちかねなの」

マジじゃん、やべぇ本気で寝てたわ。と言うと、SnowManさんの中でも几帳面な方だと思われる翔太さんは慌てることなくバックをサッと持って降りた。

ドアを閉めて車の鍵をロックし、先に歩く2人について行く事になる。

確か誰かから聞いた話によるとB型の他にも2人は同学年とかで、仲良さそうに話しながら進んでいく。

アイドルって仲良いんだなぁってぼんやり考えながら一定の距離を置いてついて行っていると、

深「ね、Aちゃん！」

あ「え」

急に2人とも振り向いてくるから驚いて大した反応も出来ず。ただ、何となく今まで感じたことの無い大人同士の距離感が身体にじわっと伝わった。