猫かぶり少女の憂鬱

大丈夫でしょ ページ30

隣の席にふらりと戻ってきた業くんに話しかける

あ「なんだかんだ優しいよね」

業「何が？」

あ「引き止め役買って出たところ」

と微笑みかければ

業「別に〜？俺この成績取ったからって、E組抜けるつもりないし。こんな面白いクラスなくなったら俺が困るから」

なんて言いつつも、何を笑ってるんです!?皆さん悔しくないんですか!?と嘆く殺せんせーを見る

その温かみのある笑みは。

…やっぱり優しいじゃない

業「んーで？総合順位同率4位ってこと？」

あ「そうなるね」

私たちの賭けではどちらかが勝てば…という話だった

業「まさか、同じになるとは…想定外」

あ「私もまさかここまで取れるとは、想定外」

こんなに真剣に何かに取り組んだのは久しぶりだ

正直、業くんに勝てる可能性は低いと勝手に見積っていたが

まさか4位を取れるとは

業くんや浅野くん、5英傑がいる中でよくやった方ではないかと思う

あ「今回の賭けはドローでお互いペナルティ無しだね」

業「ちぇ、つまんない」

なんて話していると

茅「ちょっとAちゃん!!Aちゃん!?」

慌てて駆け寄ってくるカエデ

あ「ん？なぁに」

茅「ん？なぁに じゃないよ!? めっちゃ頭いいじゃん!!なんで隠してたの〜?!」

あ、やべ()

思い切って点数も順位も公開してしまっていたことをすっかり忘れていた

あ「あー…色々？」

色々じゃないでしょー!?と、問い詰め攻撃が始まってしまった

返答に困るなこれ

なんて眉毛を下げて愛想笑いをしていると

業「俺がAちゃんに勝負したの」

助け舟を出してくれる

あ「殺せんせーの協力もあって、頑張れたの！」

まぐれだけどね。と保険をかけつつ周りの様子を伺う

トラウマが、嫌な記憶がふとよぎる

…こわい

なんて思ったのもつかの間

中「やるじゃーん！てか、この2人のおかげでE組に先生引き止められたわけだし！」

岡「いやまじ感謝だわ！また勉強教えてよ」

前「頑張ってくれてありがとー！って感じ！」

…意外にも何もつつかれない

業くんが耳打ちする

業「ね？大丈夫でしょ」

その耳打ちがすごくくすぐったい

あ「ん」

目を見開きつつ不意打ちだったから、変な声出たし…

業くんに目線を移して

あ「耳弱いから不意打ちやめてよ…でも、皆優しくてよかった」

業「良かったね…耳弱いんだね」

あ「は」

意地悪な顔をする業くんを見て、またやってしまったのかと気づく

自分で弱点を晒すなんて

あ「テスト同点なのに負けた気しかしない…」

心配してる→←思惑通り

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