猫かぶり少女の憂鬱

素直に ページ21

まなみによる、公開暗殺は案の定失敗に終わった。

あ「相変わらず表現がストレートだね」

奥「うーん…言葉遊びって言うんでしょうか。そういった複雑な感情表現が苦手で」

苦笑いしながら話すまなみの顔には

E組特有の、あの劣等感を感じている顔と同じだった。

私と違って素直に育った可愛い子。

少々ひねくれてしまった私にとっては羨ましい悩みだ。

あ「まなみが気持ちをストレートに伝えてくれるの、私好きよ」

奥「本当？」

あ「うん。嘘の気持ちじゃないって伝わってる。でもね…」

私も言葉遊びが得意な方とは言えないけど、と前置きをして

あ「世の中優しい人だけじゃない。殺せんせーみたいに全てを汲み取ってくれる人ばかりじゃないんだよ」

自分にも当てはまるこの言葉。言っておきながら重いこと…

痛い所を突いているのはわかっていた。

──自分が言えることじゃない。

奥「Aちゃん…？」

心配そうに首をかしげるまなみを見て、正気を取り戻した。

あ「変なこと言っちゃった！殺せんせーのとこ行くんでしょ？あそこでソワソワしながら待ってるよ！」

と、半ば急かしてその場からまなみは走って消えていった。




翌日。

まなみは宿題として出されたという毒物を殺せんせーに手渡していた。

…ほんとに素直なんだから。まなみちゃん

それを飲んだ殺せんせーは液状化してあらゆる隙間に入り込む。

もはや対先生弾を打つのもバカバカしく、

近くにいたらナイフを振る位でとどめた。

殺「渚くん、君が先生に毒を盛るならどうしますか？」

潮「先生の好きな甘いジュースで毒を割って…特製手作りジュースだと言って渡す…かな」

殺「そう。人を騙すには相手の気持ちを知る必要がある。言葉に工夫をする必要がある」

先生が言うから余計に響いてくるこの言葉。

今はまなみに言ってるけど。私にも当てはまる

殺「上手な毒の盛り方、それに必要なのが国語力です」

まなみには素直だからそのまま受け取れたであろうその言葉たち。

私にとって、その言葉とは浮かれた私に現実を突きつける凶器にしか思えなかった──。

"人を騙す国語力"

この教室の大半の人を私はまだ騙しているんだと。



？《国の決定だ。もとより素人の子供達に殺れるとは思っておらん》

烏「…それで、その人物はどのような」

？《手練だよ。世界各国で11件の仕事の実績がある》

？《正真正銘…プロの暗殺者を送り込む》

大人にはね→←狙う

• 金　運: ★☆☆☆☆
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