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ある少女 ページ2

私、Aは、学校をサボっていた。

義務教育中だけどね…。

異能があれば生きていける。私の異能を誰かが気に入ってくれれば、どこかの会社に入れるだろう。
勉強ならそこそこできる。
友達なんていない。

学校をサボって困ることなんて何もない。

私の住んでいるところでは、異能力者が少ない。

なので、異能力者の私は気味が悪い、と避けられていた。

親は私を捨てずにここまで育ててくれたけど、義務教育が終わったら出て行けと言われている。

私は誰にも愛されてない。

生きる価値なんてないんだ。

この世界に、何も求めなくなったある日。
公園のベンチで昼寝をしていると、とある男性が話しかけてきた。

「君、学校は?学生じゃないの?」

その男は、茶色のボサボサの髪で、黒い外套を羽織った人だった。


よく見れば、ところどころに血が付いている。

怪我でもしたのだろうか。

「ねぇ、聞いてる?」

私がしばらくそんなことを考えていると、彼が突然顔を近づけて聞いてきた。

「君、学校行ってないの?」

「…行ってない。行く必要もない」

私がそう答えると、彼は笑った。

「…ふふ、そう。何でそう思うのかな?」

「なんでって…頭はそこそこいいし、友達もいないから」

知らない男になんでもほいほい喋るのはどうかと思ったけど、もう殺されたってなんだっていいと思っていた私は、彼に考えていたことを話した。

一部を除いて。

自分が異能力者と言うことは、言わなかった。それを言えば、彼も私を気味悪がってどこかに行ってしまうだろう。

暇つぶしに彼と喋ろうと考えていたので、異能のことは黙っていた。

…けれど。

「君、ひとつだけ私に言ってないことがあるよね」

心臓に氷でも押し付けられたかと思うほど、ひやっとした。

なぜ、わかったんだろう。

彼にはまだ異能を見せたことはない。

「図星かな?まぁ、いい。君、ちょっと手を貸してごらん。面白いことをしてあげる。私と手を繋いだまま、もう片方の手で異能を使ってみてくれる?」

正直、気は乗らなかった。異能にはあまりいい思い出がないし。

この異能があれば、就職先などには困らないだろうけど、今は気味悪がられるだけで、何もいいことがない。

「…見てから、気持ち悪いとか言わないでくださいね」

そう呟いて、手に力を込めた。

ポッ、と火がついた____はずだった。

「…え」

なぜか、私の手には何も起こらなかった。

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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年2月21日 20時

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