【HQ】スマホ壊れたから髪切った

#１３ ページ14

マネージャーの仕事



といっても忙しなく仕事をこなす訳ではない




楽と言っちゃあ楽だけど、選手とのコミュニケーションがなかなかに難しい




と思う







『 お！おっす金田一！1週間ぶり！…じゃなくて、久しぶり 』






金田一と会ったのは他の人にはナイショにしてもらってる



めんどくさいからね







「 お久しぶりです！ 」




『 今日は暑くなるらしいから、ちゃんと水分補給してね 』




「 は、はい！！ 」




『 よし 』






怪しまれない程度に会話をしておく



そこでふと、視界に変なものが見えた






『 ねぇ金田一、すんごい話変わるんだけどさ、アレ、なに？ 』





アレ、というのは、体育館の隅でちっちゃくなってる及川さん



岩泉さんにボールを当てられても微動だにしない




なんか、ぼーっとしてる感じ






「 あー、及川さん、さっきから様子がおかしいんですよ。何言っても上の空って感じで、コーチ達も困ってて… 」




『 …なんか、お疲れ様 』









「 おい瑞原！ちょっと 」




『 あい 』




溝口さんに呼ばれてそっちに行くと、入畑監督も困り顔をしていた






「 あー……及川のことなんだが、ずっと瑞原の名前を呟いてるんだよ 」




「 それで、ちょっと様子を見てきてくれないか 」




『 まっじすか 』




「 じゃ、よろしく 」




『 うそやん 』







監督とコーチの鬼！！！


でも、このまま放置しておくと試合に支障が出るし





やむを得ん


いざ参る









『 …あの、及川さん。何いじけてるんですか 』






及川さんと目を合わせるようにしゃがんでみると、バッチリ目が合った






「 ぁ……Aちゃ、Aちゃ、 」




『 あれ、地味子ちゃんはもうやめたんですか 』




「 ぅん、ごめ、ねぇ 」




『 まぁいいですけど。早く戻りましょう。皆待ってますよ。…早く主将らしいとこ見せてください 』







私は立ち上がって、声カッスカスな及川さんを見下ろした






『 応援してるんですから、かっこいいとこ見せてくださいよ 』






じゃあ私、先に戻ります と言い残してベンチに戻ろうと及川さんに背を向ける

と、






「 〜っ、Aちゃぁぁん！！！！！！ 」





『 うわっ、ちょ、なんですか危ない！！！ 』







背後から抱きついて来ようとした及川さんをしゃがんで回避

筋肉が痛いけど、頑張れ私









………こりゃ岩泉さん案件だな

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