記念日 ページ2
今日は付き合って一年の記念すべき日である。と同時に、某ゲームの試写会の日でもあった。
前日から通話を繋げていた私たちは、午前はその某ゲームで協力し楽しんでいたのだが、彼が途中で飽きてしまった。「他にもやらないといけないことがある」と言って、辞めてしまったのだ。
そこから、ほぼ私の一人実況のような状態になってしまった。気づけば彼はミュートのまま、喋らなくなってしまった。
「申し訳ないことしたかな」。そう思いつつ、ゲーム機を弟へ渡しに行き、通話場所へ戻った私は、
『あの、ごめんね？放ったらかしにしちゃって』
と謝った。私に非があるので謝るのは当然の事だった。彼もミュートにして寝ていたそうだ。
しかし、彼が次に発したのは、次の言葉だった。
zm「前に、ストレスとかで肩こりになってるって話したじゃん。あのあとお母さんから、寝る時に聞くといい音楽を紹介してもらったんだけど、それを聞きたいから通話を切りたい」
「通話を切りたい」――。
誕生日を寝過ごされ、記念日まで彼の都合に合わされようとしている。必死の抵抗のつもりで、強い口調でこう返した。
『あのさ、話したくないなら話したくないって言ってくんね？』
と。少し間があった後に彼が発した言葉は、
zm「……じゃあ、今そういう気分じゃない」
――だった。
私はそこで、何かが切れた気がした。
こんなに記念日を、誕生日を意識していて、ワクワクして、ドキドキしていたのは私だけだったのか。
こんなに好きだったのは私だけだったのか。
彼は、私など愛してもないし好きでもない。だからあんな行動が取れるのか――と。
「言動よりも行動」とはよく言うが、まさにそれを痛感した。
その日は何も言わずに通話を切った。
私はその日、SNSにこう投稿した。
A@xxx_ggg
【お知らせ】
私、Aは短くても○月✕日(△)、長ければ無期限で失踪します。理由は特にないことは無いですが、強いて言うなら「1人になりたい」です。
私が主に話しているLIMEグループ、DMグループ、descordの鯖には、"共通のメッセージを送って"一時退会します。
と。
私は一時退会するグループに、失恋ソングのリンクと共にメッセージを送って退会した。
グッバイ
続く
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作者名：若葉 | 作成日時：2022年8月29日 2時
