長女系審神者はブラック本丸を救い隊！【山姥切国広】 (ページ10)

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8話ページ10

夜になり、はじめ来た部屋に戻った。山姥切が執務室と言うんだって教えてくれた。中には小さな机と電燈が置いてあり、押入れには一人分の布団があった。

山姥切にどこで寝るんだって聞いたら、俺たちは睡眠はいらないから不寝番をすると返され、素直にお言葉に甘えることにした。

名前が無いのは不便だったので、山姥切と審神者名を考える。

「うーん…なにがいいかな。」

わたしが独り言をしても、山姥切は考え込んでいてひとことも話さない。

「……麻とはどうだろうか…」

長い沈黙の末、山姥切が口を開く。

「あさ…？植物の？それとも朝晩の？」

「植物だ。麻はまっすぐ高く伸びる、あと生命力が強いんだ。あんたにぴったりだと思った。」

正面から真顔でそんなこと言われると照れる。

「…そうかな？」

わたしが不安げにすると、今度は山姥切が自信を持って答える。

「あぁ。あと、麻と朝がかかっていて物事の始まりを感じさせて縁起がいい。」

こんなにもいろんなことを考えて名前を決めてくれる山姥切が、大好きだった。

「じゃあ、麻にしよう…！」

頷きながら答える。山姥切が考えたからか、自分で言ってくたびにしっくり馴染むような気がした。

「改めてこれからよろしく、山姥切。｣

握手のために手を差し出す。

「あぁ、よろしく。麻。」

しっかりと握り返された手のひらが、なによりも心強い夜であった。