Testing:5.5 ページ38
「…ふん、この俺を見くびんなよ」
ルートヴィッヒの喉元近くに剣先を近づけたアーサーは、額に伝う汗を拭った。
「おう、そうでなきゃ困るぜ。なぁルッツ？」
ニヨニヨとしながらギルベルトは舞台から降り、
ぽんぽんと弟の頭に手を乗せた。
「…兄さん、そうやって子供扱いするのはやめてくれ。屈辱的だ」
「まあお前もまだ修行が足りねえってこった。精進しろよ」
「…Ja」
そう言って、ルートヴィッヒは渋々舞台の方へ戻り、椅子に座るAの隣に立った。
「あの、とても良い闘いでした」
「！そ、そうか。ありがとう」
微笑ましいやりとりをする2人を見て、アーサーはまたもや「ぎぎぎ…」と唸った。
「お前、目の下にも眉毛増えてるけど」
「あ''！？うるせえ！」
アーサーが思わず剣を振りかざす。
「ケセセ、感情に身を任せてると隙を突かれるぞ」
それを目にも見えぬ速さで受け止めるギルベルト。
両者どちらも劣らない剣術の持ち主だ。
続いて、騎士の反撃。
空気を裂く音がしたと思うと、それはあっという間にアーサーのシャツを破いた。
「ちっ…」
「おら、よそ見してると下も破けちまうぜ？」
唇の端をニヤリと上げ、騎士は余裕の笑みを浮かべた。
無駄のない動きで振り下ろされる剣を、アーサーは必死に避けながら様子を伺っていた。
「(何かコイツの隙を見つけることができれば…！)」
十文字に交錯する剣。
しん、と静寂に包まれる。
片方が引き抜かれると、もう片方も踊るように舞う。
そんな闘いが三十分ほど続いていた。
両者の体力は限界に近い。
「…なあ、もう一度聞くけどよ。なんでお前はAを選んだ？金目当てじゃないのか？」
アーサーは少し黙ると、
「Aは俺に無いものを持っている。優しさだけじゃない、その勇敢さや人への思いやり、すべてだ。すべてが今まで俺が知らなかったもの。
…どんなに金を積んだって、それは何にも代えることはできない」
「へえ。金貨よりも価値がある、と」
「俺はこいつと同じ世界を見たい。隣にいて恥ずかしくない人間になりたいんだ。
それは、令嬢だからとかじゃない。
…Aという、俺にとって最高の女性だから」
Aは顔を真っ赤にして、俯いた。
「お前…っ！？」
「油断したな」
ギルベルトを床に倒し、その首の隣に剣を刺すと、アーサーは「これで勝負はついたな？」と笑った。
「くそ、やられたぜ」
「それはこっちの台詞だ、何分かかったことか」
「仕方ねえ。
アーサー、…お前を、認めてやるよ」
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とと(プロフ) - アルマダさん» わわ、ありがとうございます！ミスも多いでしょうに…！お恥ずかしい。笑 一旦お休みを頂きますが、また復活したらその時はリクエストでも気軽にしてやってください^^ きっと凄く喜びますので… (2017年5月5日 19時) (
レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
アルマダ - もう５回ほど読み返してしまいました笑それくらいとてもいい作品で…！これからも作品作り頑張って下さい。陰ながら応援させていただきます。 (2017年5月5日 18時) (レス) id: d15fe667b8 (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - MGilbertさん» 見てくださってありがとうございます〜！ 少しでも彼らの優しさを出せたらいいなと思ったので…笑 (2017年2月2日 10時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
MGilbert(プロフ) - 最っ高やわ〜結婚の仕方が皆らしくて和んだ（笑） (2017年2月1日 6時) (レス) id: 5060b92478 (このIDを非表示/違反報告)
とと(プロフ) - はとのしっぽさん» レス遅くなってしまいすみません…！応援とてもありがたいです、頑張ります(´；ω；｀) この作品も見てくださって本当に有難うございました！ (2017年1月27日 7時) (レス) id: c40f552dcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とと | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/hometotop/
作成日時：2016年6月13日 5時
