隠さず9 ページ9
きゃあっとわざとらしく悲鳴を上げる黒尾を可愛くないと一蹴して、紙飛行機を抜いた。髪の毛は微かに動いたものの、まったく形が崩れなかった。なんて強力なワックスなんだ......。
「あ、これ寝癖な」
「うそーん」
「まじまんじ」
紙飛行機を破かないように優しく開く。その驚きの内容に、思わず涙を零した。
「うそ......」
「なんだって?」
「告られた、かも......」
831。
私の記憶違いでなければ、I love youという意味だ。
「くくく黒尾パイセン、これってなんて返すのが正解なんでしたっけ......?」
「普通に......8312とかじゃね」
「おーけい、おーけい」
おしゃれなレターセットも折り紙も学校に持ってきているはずがなく、ノートを1ページちぎって、震える手で数字を書いた。思いと同じだけ強く紙を折って、紙飛行機を作る。
ふいに、トントンと肩を指で突っつかれた。もちろん、黒尾だ。
「おい、もう一枚来るぞ」
「え?」
なんて会話をしている間に紙飛行機は黒尾の頭に到着。すご、この競技あったら夜久オリンピックで優勝できるよ。
紙を開いて暫く見つめ合った後、先程作った紙飛行機を黒尾に押し付けた。
「これいらないから、私からの愛の告白カッコ仮、受け取っていいよ」
「俺もそれは大丈夫です」
「え?」
「......っす」
「で、これどういう意味だと思う?」
二枚目の紙には、健康になれよという文章が載っていた。
「831で野菜じゃね」
「え、そんなしょーもないことある?」
「それが夜久だろ」
「間違いないっす」
夜久めぇ、いらん付け足ししてくれよって。くそぅ、せっかく両片想い卒業のチャンスだったというのに。
しかし、夜久を見たことによってそんな思いは消し飛んだ。相変わらずの、真っ赤な顔。これが見られるなら、もう少しくらい焦らしてくれてもいいかもしれない。
私は夜久にバレないように、一つ目の紙飛行機を筆箱にしまった。
290人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イルカ(プロフ) - ナノハナさん» しばらく黒尾カッコ良し男ターンです笑。黒尾のいいところフルで出せますように……! (4月18日 19時) (レス) id: 627e4a2f4a (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 更新待ってましたぁ!!黒尾、お前は本当にいい奴だよ(涙)更新ありがとうございます!! (4月15日 21時) (レス) @page25 id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
イルカ(プロフ) - ナノハナさん» やっくんはカッケェです(真顔)追っかけありがとうございます、こちらも嬉しいです笑! (4月13日 12時) (レス) id: 627e4a2f4a (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 更新、ありがとうございます!!!!本当に嬉しいです!!あぁ、やっくんカッケェ… (4月6日 21時) (レス) @page23 id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
イルカ(プロフ) - まあさん» こちらこそ……多すぎる好きの受け止めありがとうございます (3月22日 15時) (レス) id: 627e4a2f4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:イルカ | 作成日時:2024年2月19日 21時