隠さず１１ ページ11
放課後が近づくにつれて、心拍数が上がっていく。そして今、六限目が終わるチャイムの音で、絶頂に達した。
「おら、帰んぞ」
「......っす」
「おジョーさんニヤケ顔でこっち見るのやめて」
黒尾を精一杯煽って、カバンを肩に掛けた。同じ教材を詰めているはずなのに、心做しかいつもより軽く感じた。浮かれた気分で黒尾にウインクをぶちかまして、数歩先を歩く夜久の背中を追いかける。なにこれ、もうカップルじゃん最高じゃん。
「歩くのおせー」
「一歩一歩を踏みしめていますので」
「うん？」
正午の柔らかな風が頬を撫でた。朝も歩いてきたこの道は、夜久が隣にいるというだけで、途端に華やかなものに変わる。一瞬一瞬、一歩一歩を味わってなにが悪い。
「だぁーもう、早く歩こうぜ！」
「わっ......!?」
あまりのスピードに痺れを切らした夜久が、無造作に私の手を取った。ぎゅっと強く握りしめて、ズカズカと進んでいく。
「や、夜久......？」
「お前ん家こっちの方向であってる？」
「う、うん。それはあってるけど......」
小柄と言えど私より大きな手。繋がれた手に熱がこもって、手汗が出ていないかと心配になる。
でも夜久が涼し気な表情を崩すことはなくて、なんだか悔しい。この雰囲気だ、少し調子に乗ったって神様はきっと怒らない。
繋いだ手を滑らせて、そっと指を絡ませてみる。動揺したのか、一瞬力が弱まったものの、夜久はそれに応えてくれた。
「......そんなにズルいこと、いつの間に覚えたんだよ」
「夜久に対する本能かな」
「やりたかったからやりましたってことかよ」
まるでカップルのような会話。お互い顔を赤くして、お互いそれに気がついて、甘い甘い沈黙が流れる。
「デートみてーだな」
突然耳に入り込んだその音声が、激しく鼓膜を揺らした。反射的に夜久の顔を確認すれば、どうやらこれは行動が走っている方らしい。
デートという単語にこんなにもときめいたというのに、私は可愛く返せない。
「普通に下校してるだけじゃん」
「んー、デートってどこからがデートか分かんねーけどさ」
二つ重なった手を、自分の胸元に持っていく夜久。彼の心臓のBPMが、顔に表れているよりもずっと早くて、思わず言葉を詰まらせた。
「ドキドキしてたらそれはもうデートじゃねーの？」
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イルカ(プロフ) - ナノハナさん» しばらく黒尾カッコ良し男ターンです笑。黒尾のいいところフルで出せますように……！ (4月18日 19時) (
レス) id: 627e4a2f4a (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 更新待ってましたぁ！！黒尾、お前は本当にいい奴だよ（涙）更新ありがとうございます！！ (4月15日 21時) (レス) @page25 id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
イルカ(プロフ) - ナノハナさん» やっくんはカッケェです(真顔)追っかけありがとうございます、こちらも嬉しいです笑！ (4月13日 12時) (レス) id: 627e4a2f4a (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 更新、ありがとうございます！！！！本当に嬉しいです！！あぁ、やっくんカッケェ… (4月6日 21時) (レス) @page23 id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
イルカ(プロフ) - まあさん» こちらこそ……多すぎる好きの受け止めありがとうございます (3月22日 15時) (レス) id: 627e4a2f4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イルカ | 作成日時：2024年2月19日 21時
