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私はとある建物の中にスコッチと共に連れて行かれた。
私に付き添ってくれている女の人はジョディ・スターリングと名乗った。
「私の事、怖くないの？」
自然な質問だった。
彼女はまさか、と首を横に振った。
「シュウ…ライから貴方のことは聞いていたから。今までよく頑張ったわね」
私は彼女の言葉でまた泣き出した。
嗚呼、ここは私が望んでいた世界なのだ。
それからは沢山のことを聞かれた。
「貴方の名前は？」
「シンデレラ」
「本当の名前は？」
「…本当の名前って何？」
「年齢は？」
「分からない」
「誕生日は？」
「分からない」
「いつから組織にいるの？」
「分からない。物心ついたときにはあの組織にいた」
「両親や家族のことについては何か覚えている？」
「知らない。私にとって、家族と呼べる人は知らない。親も誰か分からない」
彼女は暫くすると、小さな溜息をついた。
「ごめんなさい…。でも、本当に分からないし、知らないの」
「いえ、良いのよ。シュウの情報を待つから」
ゆっくりしていて、と彼女は私に紅茶とドーナツを出してくれた。
少しすると、彼女の携帯が着信を告げる。
「貴方の情報が少し分かったわ」
それは、初めて聞く自分の事だった。
「貴方の名前は無いわ。戸籍がないみたい。親は数年前に亡くなっていて、姉が二人いるみたいね。貴方は生まれたときからあの組織にいて、ずっと隔離されて生活させられていた。歳は…10歳。まだそんなに幼いのね…。…シュウから来た情報はこんな感じかしら」
「私、私のこと全然知らない」
初めて知った自分の事。自分の名前、自分の年齢、自分の出生。でもそれらは私にとって他人事のようだった。
「別に構わないわ。貴方の人生はこれからなんだから」
彼女は私をゆっくりと抱きしめてくれた。
私は生まれてはじめての経験に思わず身体をすくめる。
初めて他人の体温で包まれた私の身体。
それはとても心地よかった。
「当分の間、貴方のこと、エラって呼んでもいいかしら？」
頭上から彼女の声が聞こえる。
「エラ…？どうして？」
「シンデレラの本名はエラだからよ」
こうして、私には新たな名前が与えられた。
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莉咲(プロフ) - 因みに私の夢主ちゃんのイメージは黒髪ロングで黒い瞳ですかね。普段はタレ目だけど銃構えたらツリ目なる的な(！？) (2020年11月26日 13時) (
レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
莉咲(プロフ) - すっごく面白いです！この作品を見つけたのは随分前なんですけど、それから何度読み返したか分かりません…！！こんな神作品をありがとうございました！！ (2020年11月26日 12時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 了解です (2020年5月31日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 舞さん» 舞さん、最後まで読んでいただきありがとうございました！続編は今のところ考えてはおりません。申し訳ありません。でも、何かの形でこの物語を広げていけたらとは思っております！ (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ゆいさん» 返信遅くなり申し訳ありません。楽しんでいただけたようで何よりです！ひとつお聞きしたいことがあるのですが、ゆいさんの中での主人公はどのような容姿をしていましたか？教えて下さると嬉しいです(*^^*) (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁月真愛 | 作成日時：2020年4月16日 12時
