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「だって、今の私に信用する以外に選択肢は無いし、もし貴方があの組織の人間なら、もうジンなりベルモットなりがいるはずだもの。…でも一つ気になるのは、何でそんな大切なことを私に話したの?」
「それは…」
コナンくんはまたため息をついた。
「A」
光が私に向き直り、ゆっくりと言う。
「何?」
「Aに姉がいることは知っているよな?」
「ええ。でも、組織にいるんでしょ?」
「それが違うんだ、Aさん」
コナンくんは一度目を伏せ、また私に視線を戻す。
「彼女は…今、俺と同じで幼児化している。組織を裏切ったんだ」
「嘘…でしょ?」
私は光を見る。
やはり光は前もって秀一から全てを聞いていたのか、深く頷いた。
「今、地下の部屋にいる。彼女はAさんに会いたがっているんだ。もし、良かったら、会ってあげてくれないかな…?」
私は戸惑い、困惑していた。
「私…私、今まで家族のことずっと憎んでいたの。だって、あの組織の人間だって聞いていたから。でも、違うの…?」
コナンくんは首を縦にふる。
「呼んでも、いい?」
「う、うん…」
コナンくんは地下へと続く階段を見て言った。
「灰原、来ていいぞ」
…現れたのは、茶髪の少女だった。
「貴方が…?」
私は現実味が湧かず、少女をまじまじと見つめる。
姉、といっても生まれてこのかた家族には一度も会ったことがないし、それに加えて今の姉は幼児化しているから、私よりも小さい。
でも。
身体が、私に流れる全ての血が、激しく訴えていた。
”彼女が姉だ”ということを。
「シンデレラ、なの…?」
彼女は私のかつてのコードネームを呼ぶ。
私と彼女はお互い恐る恐る歩み寄ると、そっと手を握りあった。
「うん。…お姉ちゃん」
”お姉ちゃん”
自然に出てきていた。
彼女はハッとしたように目を見開く。
私は膝をつき、彼女と目線を合わせた。
「嗚呼、良かった!!生きていて!!本当に、本当に、ごめんなさい…!!」
彼女は私に抱きついて、泣き始めた。
私もぎこちなく彼女の背中に手をまわす。
「お姉ちゃん。お姉ちゃん…!!」
彼女は私からそっと身体を離すと、少し恥ずかしそうに笑った。
「私は貴方の姉。宮野志保よ。まぁ、色々あって今は組織を裏切って幼児化して、灰原哀と名乗っているわ」
「うん、うん、うん…」
私の視界はいつの間にか涙で曇り、ただただ頷くことしか出来なかった。
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莉咲(プロフ) - 因みに私の夢主ちゃんのイメージは黒髪ロングで黒い瞳ですかね。普段はタレ目だけど銃構えたらツリ目なる的な(!?) (2020年11月26日 13時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
莉咲(プロフ) - すっごく面白いです!この作品を見つけたのは随分前なんですけど、それから何度読み返したか分かりません…!!こんな神作品をありがとうございました!! (2020年11月26日 12時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 了解です (2020年5月31日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 舞さん» 舞さん、最後まで読んでいただきありがとうございました!続編は今のところ考えてはおりません。申し訳ありません。でも、何かの形でこの物語を広げていけたらとは思っております! (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ゆいさん» 返信遅くなり申し訳ありません。楽しんでいただけたようで何よりです!ひとつお聞きしたいことがあるのですが、ゆいさんの中での主人公はどのような容姿をしていましたか?教えて下さると嬉しいです(*^^*) (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁月真愛 | 作成日時:2020年4月16日 12時