白になりたいと願った

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「おい！」

零は私達をまた睨みつける。

「わざわざサンドイッチを頼まなくてもいいだろ？！モーニングなんだからモーニング頼めよ！！」

「え、でも食べてみたいじゃん？」

私は光を見る。

「おお。すっげぇ食べてみたい」

「はぁ…」

漸く零はキッチンに戻っていった。


私達はキッチンに立つ零を見ながら小声で話す。

「いや、ゼロが喫茶店店員とかツッコミどころしかねぇんだけど」

「あれがバーボン？愛想良すぎじゃない？」

「でも悔しいくらいにエプロン似合うよなぁ」

「面の皮が馬鹿みたいに厚いんだってことは理解した」

「あいつは間違いなく一流の潜入捜査官だぜ」


そんなことを話していると、カウベルが新たな来店者を告げる。

「あら、小五郎さん、蘭ちゃん、コナンくん！」

現れたのは中年男性と高校生くらいの女の子、そして小さな男の子だった。

「よぉ、モーニング食べに来たぜ」

「あ、今日はもうお客さんがいるんですね！」

「ええ、安室さんの知り合いなんですって」

梓さんとの会話を聞く限り、常連さんのようだ。


ぼぉっとそのやり取りを見ていると、小さな男の子が私達に近づいてきた。

「僕、江戸川コナン！ねぇ、お名前は？」

…コミュ力半端ない。

「お兄さんの名前？緑川光っていうんだ」

子供好きの光はニコニコと嬉しそうに応対する。

一方私は大人に囲まれて育った影響で自分より年下の小さな子どもが苦手だ。

きっと私は若干引きつった顔をしているだろう。

「お姉さんは？」

「あ、えっとね、A。緑川A」

コナンくんは何ともいえない顔をしていた。

「ボク…、どうかした？」

気になって恐る恐る尋ねる。

「ううん、何でも無い！」

屈託のない笑顔を向けられた。

「駄目じゃないコナンくん！席に座ってないと！」

後ろからコナンくんを抱き上げたのは長い黒髪が特徴の女の子だ。

「毛利蘭っていいます。安室さんは私のお父さんの一番弟子なんです！」

その名前を聞いて、光は何かに気がついたようだ。

「毛利…。じゃあ、あの男性は毛利小五郎さん？」

「はい！私の父です」

「へぇ…ゼロがねぇ」

何故か光はニヤニヤしている。

大方、零をイジるネタを見つけたことが嬉しいのだろう。


そこに。

ﾄﾞﾝｯ

机にお皿が置かれる。

「サンドイッチです。…ねぇ？」

ニコニコ笑いながらお皿を置いていく零の顔は、笑っているはずなのに末恐ろしかった。

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