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私は射撃を特訓させられた。
キャンティとコルン。そしてライから。
「アンタ、腕が良いねぇ!早く一緒に仕事がしたいよ!!」
キャンティはケラケラと笑いながら言う。
嫌だ。
素直にそう思った。
だって、それは人を殺すことでしょう?
ある日、ライと二人きりでの射撃だった。
彼は700ヤード離れた標的でも綺麗に撃ち抜く。
「どうだ、L96A1には慣れたか」
私が使用している銃は、ライと同じものだ。
でも、私はまだ400ヤードがせいぜいだ。
「まだ。そんなに簡単にできることじゃない」
私はそう言って、またスコープを覗き込む。
「お前はいつからここにいる」
ふと、ライが尋ねてきた。
「覚えてない。でも、物心ついたときには、既にここにいた」
「そうか」
「貴方は?どうしてここに来たの?」
私の問いにライは少し考えたあと、答えた。
「大切なものを守るため、だろうか」
「羨ましいわ」
私はライフルを下に下ろした。
「だって私には守りたいものなんてないもの」
ライはその言葉を聞いて驚いたようだった。
***********
ライSide
「だって私には守りたいものなんてないもの」
彼女のその言葉に驚いた。
言葉、というよりその言葉に込められていた感情の無さに驚いた。
まるで、ここでの暮らしに絶望を感じているような声。
さっきの『大切なものを守るため』という俺の答え。
これは一種の賭けだった。
彼女はここにいる幹部とは少し違う。
それは彼女をひと目見て感じたことだった。
そして、先程の彼女の言葉で確信した。
嗚呼、彼女はここから出ることを望んでいるのだ、と。
だから俺は彼女にこう言った。
「黒は好きか」
その言葉に彼女は自虐的に笑ってから言った。
「黒は、どんな色でも飲み込んでしまうのよ」
この問いの答えになってないじゃないか。そう思って見た彼女の横顔は、どこまでも寂しそうだった。
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莉咲(プロフ) - 因みに私の夢主ちゃんのイメージは黒髪ロングで黒い瞳ですかね。普段はタレ目だけど銃構えたらツリ目なる的な(!?) (2020年11月26日 13時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
莉咲(プロフ) - すっごく面白いです!この作品を見つけたのは随分前なんですけど、それから何度読み返したか分かりません…!!こんな神作品をありがとうございました!! (2020年11月26日 12時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 了解です (2020年5月31日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 舞さん» 舞さん、最後まで読んでいただきありがとうございました!続編は今のところ考えてはおりません。申し訳ありません。でも、何かの形でこの物語を広げていけたらとは思っております! (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ゆいさん» 返信遅くなり申し訳ありません。楽しんでいただけたようで何よりです!ひとつお聞きしたいことがあるのですが、ゆいさんの中での主人公はどのような容姿をしていましたか?教えて下さると嬉しいです(*^^*) (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁月真愛 | 作成日時:2020年4月16日 12時