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駐車場は張り詰めた空気で支配される。
風見さんはそそくさと戻ろうとしたが、バーボンがそれを許すはずがない。
「風見。何逃げようとしてるんだ?」
「い、いや!に、逃げるだなんて、とんでもないっ!」
「おー、声が上ずっているぞ、風見」
光が茶々を入れるが、それもバーボンの睨みで消える。
「とりあえず、みーんなまとめて俺の家だ。分かったな?」
ドスのきいた凄い笑顔で言われてしまえば、私達には彼に従うことしか選択肢は残されていなかった。
彼のRX-7で連行され、ついたのは何の変哲もない普通のマンション。
彼の部屋に上がると、一匹の白い犬がいた。
「ハロ、ただいま。俺は今から話さなくちゃいけないことがあるから、寝室に行っておいてくれないかい?」
ハロは賢い犬なのだろう、その言葉を聞くと、トコトコと足音を立て、寝室らしき部屋へと姿を消した。
「さて…と。何処から話してもらえばいいのかな?」
私達3人が自主的に正座をしてしまうほどに、端正なはずのその顔は末恐ろしかった。
そこから説明すること小一時間。
彼が何度「おい、ちょっと待て、ストップ。何だって?!」って言ったか分からない。
ようやく彼に全部説明し終えた頃には、私達は特別な運動をしたわけではないのに、体力を完全消耗していた。
「じゃあ、この少女がシンデレラ?」
「嗚呼、メイクで容姿を変えているからな。気が付かなくても仕方はない」
バーボンは私に向き合って右手を差し出す。
「改めて言おう。俺はバーボンもとい降谷零だ。よろしく頼む」
私は彼の右手を取って握手をする。
「シンデレラ…改、緑川Aです」
「君が無事で良かったよ。…じゃあ、今は赤井のいるFBIに世話になっているんだな」
「まぁ、彼は殉職したけどね」
今、世間的には秀一は死んだことになっている。
「本当か?」
バーボン…零はずいっと光に顔を近づける。
やはり秀一の予想通り、零は秀一の死に疑問をもっているらしい。
「まじだって!!まじだって!!」
光は彼の真っ直ぐな視線に耐えきれず、身体を仰け反らせる。
「本当にすみませんでした、降谷さん。知らせを受けた時に直ぐにでもお伝えすべきだったのですが…」
風見さんが土下座をする。
「まぁ、良い。とにかく、無事で良かった。ヒロ、A」
「ゼロ…!!」
光は零にガバっと抱きつく。
しかし、次の瞬間。
「ヒロ、一発殴らせろ」
その言葉に光が青ざめたのは言うまでもない。
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莉咲(プロフ) - 因みに私の夢主ちゃんのイメージは黒髪ロングで黒い瞳ですかね。普段はタレ目だけど銃構えたらツリ目なる的な(!?) (2020年11月26日 13時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
莉咲(プロフ) - すっごく面白いです!この作品を見つけたのは随分前なんですけど、それから何度読み返したか分かりません…!!こんな神作品をありがとうございました!! (2020年11月26日 12時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - 了解です (2020年5月31日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 舞さん» 舞さん、最後まで読んでいただきありがとうございました!続編は今のところ考えてはおりません。申し訳ありません。でも、何かの形でこの物語を広げていけたらとは思っております! (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ゆいさん» 返信遅くなり申し訳ありません。楽しんでいただけたようで何よりです!ひとつお聞きしたいことがあるのですが、ゆいさんの中での主人公はどのような容姿をしていましたか?教えて下さると嬉しいです(*^^*) (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁月真愛 | 作成日時:2020年4月16日 12時