検索窓
今日:55 hit、昨日:104 hit、合計:276,590 hit

14 ページ14

リビングには既に二人の姿があった。

「ほら」

秀一が出してくれたのは、私の大好物のレモネード。

「覚えていてくれたんだ」

私はグラスを手にとってレモネードを飲む。どちらかというと甘みよりも酸味の強いこのレモネードは、疲れた私の身体に染み渡った。

「美味しい」

「お前は甘いレモネードより酸味の強い方が好きだろ。俺のお手製だ」

「そんな細かいとこまで…」

私は頬を緩める。



「さて、と」

秀一はソファに座ると、この街で暮らす上においての注意点を話し始めた。

「あと、これは主に光へ向けての注意なのだが。この街にある”ポアロ”という喫茶店には近づかない方が良い」

「何故だ?」

「あそこでは降谷くんが安室透という偽名を使って働いている。不用意に近づくと、君は全治一週間では済まない怪我を負わせられる羽目になるぞ」

「へぇ。あのゼロが喫茶店の店員…。さぞかし人気なんだろうな」

確かに、記憶の中のバーボンはかなりのハンサムだった。女性客はほっとかないだろう。

「俺は時々沖矢昴の姿でその喫茶店に通っているが、彼には嫌われているな」

「何で?」

私は素朴な疑問を秀一に投げかける。

「彼は、沖矢昴=赤井秀一と感づいているらしい。あいつは俺が光を殺したと思っているから、俺のことを恨んでいるんだ。”お互いNOCだったなら、助けられる道もあっただろうに”ってな」

「いやー、俺、生きてるんだけどねぇ」

光は面白そうに唇の端を上げる。



「…とまぁ、とりあえずそんな感じだ。なるべく一緒に行動したいとは思っているが、出来ない時もある。充分に注意して行動してくれ」

「はーい」

私は比較的緩めの返事をした。

「本当に分かったのか…」

秀一は苦笑する。

既に私の興味は、既にこの屋敷に沢山ある小説へと移り始めていた。

「凄い…。コナン・ドイルにエラリー・クイーン、ナイトバロンシリーズも!ありとあらゆる推理小説がある!!」

「そういやAはミステリー小説の大ファンだったな。好きなだけ読んで良いぞ」


その数時間後にこの屋敷の持ち主を知った私が、大きな声で叫ぶのはまた別の話。

15→←13



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
550人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

莉咲(プロフ) - 因みに私の夢主ちゃんのイメージは黒髪ロングで黒い瞳ですかね。普段はタレ目だけど銃構えたらツリ目なる的な(!?) (2020年11月26日 13時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
莉咲(プロフ) - すっごく面白いです!この作品を見つけたのは随分前なんですけど、それから何度読み返したか分かりません…!!こんな神作品をありがとうございました!! (2020年11月26日 12時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 了解です (2020年5月31日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 舞さん» 舞さん、最後まで読んでいただきありがとうございました!続編は今のところ考えてはおりません。申し訳ありません。でも、何かの形でこの物語を広げていけたらとは思っております! (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ゆいさん» 返信遅くなり申し訳ありません。楽しんでいただけたようで何よりです!ひとつお聞きしたいことがあるのですが、ゆいさんの中での主人公はどのような容姿をしていましたか?教えて下さると嬉しいです(*^^*) (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:暁月真愛 | 作成日時:2020年4月16日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。