検索窓
今日:41 hit、昨日:104 hit、合計:276,576 hit

13 ページ13

夏休み。

「暑い…」

久しぶりに降り立った日本は、とにかく暑かった。

私達は成田国際空港からではなく、米軍基地から入国する。

勿論、FBIが手配した特別措置だ。

「溶けそう…」

先程買ったばかりのペットボトル飲料の残りはもう半分になっている。


私達はFBIから指定され、秀一が住む街である米花町に向かうことになっていた。

「久しぶりだなぁ、日本」

光はしみじみと言う。

私達は万が一組織の人間と出会っても大丈夫なよう、それなりに変装していた。

だから、余計に暑さが身にしみる。

ゴロゴロと引くスーツケースが重い。


「おお、ここだここだ」

駅を降り、暫く歩いた。

光が足を止めたのは大きなお屋敷の前だった。

表札には『工藤』と書いてある。

光はインターホンを押す。

『入れ』

インターホン越しに秀一の声が聞こえた。

私達は門扉を開けて、大きな工藤邸に足を踏み入れた。



「誰?」

私の第一声はこれだ。

目の前にいるハイネックの人物は明らかに秀一では無かった。

「気づかないのか」

その人物はマスクを剥ぎ取った。

その下から現れたのは、見慣れた秀一の顔だった。

「変装、してるのね…」

「嗚呼、組織の中では死んだことになっているからな、一応」

「一応、ってことはバレかけているんだな。気をつけろよ」

光の言葉に秀一は頷く。

詳しく聞けば、秀一はあの後、組織に追い詰められ、私達と同じ要領で殺されたふりをしたらしい。

それには現在も潜入中のNOCも関わっているとか。

…組織、NOC多すぎじゃない?


「久しぶりだな。ライフルは上達したか?」

秀一は私を抱き寄せ、頬に軽くキスをする。

これは秀一の私に対する昔からの癖だ。

最初は驚いたが、海外暮らしが長い彼にとっては当たり前のことなのだろう、と今は思っている。

「少しね。でも、秀一には勝てないわ」

「当たり前だ」

久しぶりに見る彼の自信満々な笑みに安心する。


日本にいる間、私と光はこの工藤邸にお世話になることになるらしい。

秀一は私と光にそれぞれの部屋を案内してくれた。

私の部屋は、落ち着いた雰囲気のとても素敵な部屋だ。

私はその部屋で軽く荷解きをして、リビングに戻った。

14→←12



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
550人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

莉咲(プロフ) - 因みに私の夢主ちゃんのイメージは黒髪ロングで黒い瞳ですかね。普段はタレ目だけど銃構えたらツリ目なる的な(!?) (2020年11月26日 13時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
莉咲(プロフ) - すっごく面白いです!この作品を見つけたのは随分前なんですけど、それから何度読み返したか分かりません…!!こんな神作品をありがとうございました!! (2020年11月26日 12時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 了解です (2020年5月31日 18時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 舞さん» 舞さん、最後まで読んでいただきありがとうございました!続編は今のところ考えてはおりません。申し訳ありません。でも、何かの形でこの物語を広げていけたらとは思っております! (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ゆいさん» 返信遅くなり申し訳ありません。楽しんでいただけたようで何よりです!ひとつお聞きしたいことがあるのですが、ゆいさんの中での主人公はどのような容姿をしていましたか?教えて下さると嬉しいです(*^^*) (2020年5月31日 12時) (レス) id: 6e8c5a7bd5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:暁月真愛 | 作成日時:2020年4月16日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。