検索窓
今日:13 hit、昨日:14 hit、合計:89,295 hit

6 ページ6

私は視線を地面に落としたまま、ゆっくりと話し始めた。

「彼…陣平とは高校の同級生だったの。私ね、施設出身で。

今までそのことでいじめられたり、偏見を持たれたりしていたの。

でも、陣平と彼の親友、研二は私のことを受け入れてくれて、私達は大の親友になった。

彼らは当時から、“警察官になりたい”っていう夢を持ってたの。まぁ、あいつらのきっかけはかなりふざけた理由だったけどね。

私はそんな彼らに触発されて、同じ夢を抱くようになったの。

それで、高校2年の修学旅行で、陣平から告白されて。

…とっても嬉しかった。

私も彼のことを好きだったけど、正直、親友で良いって思ってたから。

それからは三人で同じ大学に進んで、法学を学んで。

警察学校に入って。

素敵な同期とも出会えた。

陣平と研二は手先が器用だったこともあって、スカウトされて爆発物処理班に入ったの。

勿論、危険な職場だから止めたわ。

でも、あいつらにはアクセルしかついてなかったの。止められるわけないじゃない。」

私は一気に話す。

赤井とは目を合わせず、視線は地面のままだ。

丁度いい距離感で横に立っている赤井の空気は微動だにしない。

私は続けた。

今度はLAの青い空に視線を上げる。

「そして私は縁あって、刑事課に配属された。

キツイ現場も多く経験したし、初めて死体を見た日なんて、泣いて陣平の元に駆け込んだ。

それでもやっていけたのは、やっぱり二人の支えが合ったから。


でもね…。研二が死んじゃうの。

解体中に突然タイマーが復活した爆弾に飲み込まれて。

私と陣平はどうしたら良いか分からなかった。

でも、後を追うことだけはしなかった。

犯人を逮捕する。

その執念が私達を生かさせた。


そして、研二の死から四年後。

チャンスが訪れるの。

犯人が現れたのよ。

私達は心を踊らせた。ようやく仇が取れる、って。

でも、犯人は私達をあざ笑うかのように、陣平を小さな監獄に引きずり込んだの。」

私は遠くに見える観覧車に目を向けた。

私の視線を追って、赤井も観覧車を見る。

サンタモニカピアのパシフィック・ウィールだ。


丸い、小さな、密室。監獄だ。

スッと言いしれぬ恐怖が私を襲う。

あれから、私は観覧車が怖くて仕方ない。

陣平の命が散った乗り物。

犯人を、一生、許さない。

7→←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (109 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
352人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

やっち(プロフ) - 終わりですか? (2022年6月25日 18時) (レス) @page43 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ayaさん» ハマっただなんて…!嬉しすぎるお言葉です!!これからいよいよクライマックスに迫ってくるので、是非楽しんでくださると嬉しいです(*^^*) (2021年6月14日 7時) (レス) id: e1d6d9168c (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - はじめまして!とても面白いくてめちゃくちゃハマりました!松田さんはどんな気持ちで天国から見てるのか気になります、、(;_;) (2021年6月13日 21時) (レス) id: 4bc46bbce4 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 紗那さん» まさかあんな3秒クオリティの前文で興味を持ってくださるとは…!嬉しい限りです!!テスト頑張ります…泣 (2021年5月23日 22時) (レス) id: ffc33c4c65 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ふくろうさん» 先日もコメントをくださってありがとうございました!おあずけしちゃいましたね…笑 是非楽しみにしていてくださると嬉しいです! (2021年5月23日 22時) (レス) id: ffc33c4c65 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:暁月真愛 | 作成日時:2021年5月16日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。