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ふと、秀一の目に入ったのは一枚の名刺。

そこにはとある男の名前が入っていた。

秀一はその名刺を手に取ると、記載されていた電話番号に電話する。

『はい。安室透です。』

秀一は少し呼吸を置くと、話しだした。

「俺だ。赤井、秀一だ。」

電話先の空気が凍りつくのが分かる。

『赤井…?!貴様、よくものうのうと…!!!』

秀一はそんな安室の態度も構わず、言葉を続けた。

「安室くん、否、公安の降谷くん。お願いだ。Aを、Aを一緒に探し出してくれ。」

電話越しの安室は思わず息を呑む。

認めたくはないが、優秀な赤井のことだ。自分の正体はバレているだろうことは察していた。

しかし、そんな優秀な男が自分に協力してほしいと申し出ている。一体どういうことなのか。

『何が、あったんですか。』

「君のことだ、俺の今の正体も全て把握しているんだろう。今すぐ俺の家に来てくれ。」

赤井はそれだけ言うと電話を切った。


安室は溜息をつく。

「すいません、少し依頼が入ってしまって。今日のバイト代は結構ですので、マスターに伝えておいて下さい!」

安室は電話に出たバックヤードから店舗の方に出ると、同僚である榎本にこう告げる。

「え?!ちょっと、安室さん!!」

困惑の声を上げる榎本の声を無視し、安室は喫茶ポアロを飛び出した。


久しぶりの二人の対面は安室の、否、降谷の望んだ形では無かった。

再開したら迷いなく一発殴りを入れて、半殺しにしようと思っていた降谷だったが、彼女が荒らした現場を見て、その考えも失せてしまった。

工藤邸に着いた降谷を赤井は変装も何もせずただひたすらに焦った様子で迎え入れた。

「お願いだ、Aの居場所が分かるのは降谷くんしかいない。」

そう今までずっと恨んできた赤井に必死に頭を下げられると、景光が死んでからずっと持っていた復讐心は一瞬収まり、最後の大切な同期を失うかも知れない、という恐怖心のほうが勝ったのだった。

彼女が使用していたという部屋は彼女自身の手によって荒らされ、足の踏み場も無い状態だった。

「きっと、彼女は松田くんとの縁の地に行ったのだと思う。」

赤井から全ての事の顛末を聞かされると、降谷は再び怒りに燃えた。

赤井の胸ぐらを掴み、出せる限りの大声で赤井に罵声を浴びせた。

「何で!!何で全てを知っていながら片瀬を一人にした?!巫山戯るな、お前はヒロだけでなく片瀬までも殺す気なのか!!」

赤井はひたすらに項垂れるだけだった。

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やっち(プロフ) - 終わりですか? (2022年6月25日 18時) (レス) @page43 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ayaさん» ハマっただなんて…!嬉しすぎるお言葉です!!これからいよいよクライマックスに迫ってくるので、是非楽しんでくださると嬉しいです(*^^*) (2021年6月14日 7時) (レス) id: e1d6d9168c (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - はじめまして!とても面白いくてめちゃくちゃハマりました!松田さんはどんな気持ちで天国から見てるのか気になります、、(;_;) (2021年6月13日 21時) (レス) id: 4bc46bbce4 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 紗那さん» まさかあんな3秒クオリティの前文で興味を持ってくださるとは…!嬉しい限りです!!テスト頑張ります…泣 (2021年5月23日 22時) (レス) id: ffc33c4c65 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ふくろうさん» 先日もコメントをくださってありがとうございました!おあずけしちゃいましたね…笑 是非楽しみにしていてくださると嬉しいです! (2021年5月23日 22時) (レス) id: ffc33c4c65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁月真愛 | 作成日時:2021年5月16日 17時

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