23 ページ23
ただでさえ大きい目を更に見開いているのはかつての同僚、美和子。
「え、片瀬さん?!」
後ろからも聞き覚えのある声。
「あ…。白鳥くんだ…。久しぶり?」
振り向けば、またしてもかつての同僚、白鳥任三郎。
「全く…。久しぶり?じゃないでしょ!!」
白鳥くんは私の腕をガッチリと掴んだ。
「突然連絡先も変えて…。どれだけ心配したと思っているんですか?!
これも何かの運命の悪戯です。じっくりと聞かせてもらいましょう?」
私は引きつった顔をする。
昴に助けを求めるが、昴は若い男性刑事に事情聴取をされていた。
「白鳥くん。しっかり捕まえておいてね?何なら手錠、いる?」
不気味なくらいな笑顔で手錠を取り出す美和子。
「いや、大丈夫!!逃げない、逃げないから!!ね?」
流石に現役刑事に勝てるわけがなく。
私は潔く降参したのだった。
そして連れて行かれたかつての職場。
相変わらず男臭い。
私はFBIとのことは隠して、退庁してからのことを話した。
「じゃあ、今は昴さんの恋人なんですね?」
美和子は相変わらず物分りが早い。
「まぁ、そういうことになるかな。」
私は疲れ切った顔をして頷く。
何せ、ここまで話すのに、かつての同僚たちがひっきりなしに私を見に来て、その度に話を中断させられていたのだから。
目暮警部なんて、泣いて再会を喜んでくれた。
本当に良い上司に恵まれていたんだなぁ、と実感する。
それにしても…、私に構っているほど大概暇じゃないだろう?!警視庁!!
由美を追い出すのに一体何分かかったかしら?!
「コーヒーです。どうぞ。」
ホットコーヒーを差し出してくれたのは高木くん。
そりゃあ、何年もいなければ新人の一人や二人、いて当たり前だろう。
「あ…、そういえば伊達は?相変わらず捜査一課なの?」
私の何気ない一言。
でも、美和子と高木くんはピタッと動きを止めた。
「…。伊達さんはね…。」
美和子の口調が全てを物語っていた。
「まさか…。」
嫌だ、そんな。嘘でしょう?班長、貴方まで。
「捜査中の交通事故で亡くなられたんです。…僕の目の前で。一年前のことです。」
高木くんが美和子の言葉を引き継いで教えてくれた。
頭の中が真っ白になる。
あの殺しても殺せなさそうなタフな男が?
交通事故で?
そんな。有り得ない。
「ねぇ?!嘘でしょ、嘘って言って!!!」
私は美和子の肩を揺さぶるが、彼女は項垂れるままだった。
352人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やっち(プロフ) - 終わりですか? (2022年6月25日 18時) (レス) @page43 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ayaさん» ハマっただなんて…!嬉しすぎるお言葉です!!これからいよいよクライマックスに迫ってくるので、是非楽しんでくださると嬉しいです(*^^*) (2021年6月14日 7時) (レス) id: e1d6d9168c (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - はじめまして!とても面白いくてめちゃくちゃハマりました!松田さんはどんな気持ちで天国から見てるのか気になります、、(;_;) (2021年6月13日 21時) (レス) id: 4bc46bbce4 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 紗那さん» まさかあんな3秒クオリティの前文で興味を持ってくださるとは…!嬉しい限りです!!テスト頑張ります…泣 (2021年5月23日 22時) (レス) id: ffc33c4c65 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ふくろうさん» 先日もコメントをくださってありがとうございました!おあずけしちゃいましたね…笑 是非楽しみにしていてくださると嬉しいです! (2021年5月23日 22時) (レス) id: ffc33c4c65 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:暁月真愛 | 作成日時:2021年5月16日 17時