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あれから、哀ちゃんとは、毎日少しずつ話すようになっていた。
交流を深めていく内に、哀ちゃんはとっても可愛らしい一面を持つ女の子だということがよく分かった。
「何で貴方みたいな良い人があんな胡散臭い男の恋人なのかしら…。騙されていない?」
今日も哀ちゃんに招かれて、博士の家で絶賛女子会中だ。
哀ちゃんは、昴のことを怪しく思っているらしく、頻繁に私にそう言ってくる。
確かに、傍目から見れば昴は怪しさ満点だ。
哀ちゃんが警戒するのも頷ける。
彼女は小学一年生とは思えない大人びた思考力と知識の高さを持っている。
私が年上のはずなのに、何だか彼女から学ぶことばかりだ。
かなり年齢が離れているのに、対等な友人のような関係になっている。
「そうだ。」
私は紅茶を飲む手を止める。
「就職先が決まったのよ。」
「あら。警察に復帰でもするの?」
私は苦笑する。
「もう警察とは関わり合いになりたくないわね。
えっと、所謂在宅ワークってやつなんだけど。英語圏のニュースを日本語に訳す翻訳者みたいなお仕事なの。
出勤も月に一度くらいで良いらしいから、気楽にできるかなって。」
哀ちゃんはニコリと笑みを浮かべた。
「何か就職祝いでもあげないとかしら。」
私は激しく首を横にふる。
「まさか!!こんな小さな子にそんなことさせるわけないじゃない。」
それより、と私はバッグからとある物を取り出して彼女に渡す。
「これ。少し昔のデザインなんだけど、新品だし、良かったら使って。」
「え…。これってフサエ・キャンベルのよね?!」
哀ちゃんは箱を手にとってマジマジと見つめる。
「うん。哀ちゃん、以前そのブランドが好きって言ってたでしょ?
実は昔に買ってたんだけど、なかなか勿体なくて開けてなかったら、すっかり買ったことを忘れちゃっていたの。
この間、荷物の整理をしていたら出てきて。もし気に入ったらもらって欲しいな。」
そうなのだ。アメリカから出国する前に、事前に送っておいたダンボールの中からひょっこり現れたのだ。
きっと、手当たりしだいに入れていたからそんなことになったのだろう。
ちなみに、彼女にあげたのは小さめサイズのウォレットだ。
「ありがとう。大切にするわ!」
本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべる彼女は、いつもとは違い年相応の可愛らしい笑顔だった。
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やっち(プロフ) - 終わりですか? (2022年6月25日 18時) (レス) @page43 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ayaさん» ハマっただなんて…!嬉しすぎるお言葉です!!これからいよいよクライマックスに迫ってくるので、是非楽しんでくださると嬉しいです(*^^*) (2021年6月14日 7時) (レス) id: e1d6d9168c (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - はじめまして!とても面白いくてめちゃくちゃハマりました!松田さんはどんな気持ちで天国から見てるのか気になります、、(;_;) (2021年6月13日 21時) (レス) id: 4bc46bbce4 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 紗那さん» まさかあんな3秒クオリティの前文で興味を持ってくださるとは…!嬉しい限りです!!テスト頑張ります…泣 (2021年5月23日 22時) (レス) id: ffc33c4c65 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ふくろうさん» 先日もコメントをくださってありがとうございました!おあずけしちゃいましたね…笑 是非楽しみにしていてくださると嬉しいです! (2021年5月23日 22時) (レス) id: ffc33c4c65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁月真愛 | 作成日時:2021年5月16日 17時