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久しぶりの日本。

なかなかに蒸し暑い。じっとりした空気が体に纏わりつくようだ。

スーツケースも心なしか湿気で重くなっているような気がする。

私は空港からタクシーに乗り込むと、事前に伝えられていた住所を運転手に伝える。

「え…。おっきくない?!」

到着したのは、あまりにも立派すぎる洋館だった。

恐る恐るインターホンを押す。

『はい。』

インターホン越しに聞こえたのは、全く聞き覚えのない声。

「あ、あの。片瀬と申します。」

そう言うと、ガチャという音が聞こえ、目の前の門のロックが解除された。

敷地に足を踏み入れる。

幼い頃から育った施設の何倍の広さだろう。

何だか不法侵入している気分だ。

洋館の扉は開いていた。

そっと開くと、とても大きな玄関とハイネック姿の一人の男性が私を迎えてくれた。

「はじめまして…??」

私の疑問符に溢れた挨拶を聞いて、その男性は吹き出した。

「はじめましてとは心外だな。」

男性はそう言うと、首元を少し触った。

「たった半年で恋人の声も忘れちゃうのか?」

私はその声を聞いた瞬間、彼に抱きついていた。

「秀一…!!!」

「よく来てくれたな。」

秀一は私を俗に言うお姫様抱っこ、というものをしてリビングまで運んだ。

秀一は私をソファの上にゆっくり降ろした。

私は洋館の内部を細部まで見渡す。

これまた素晴らしい装飾の数々だ。

「FBIのセーフティハウスってこんな豪華なわけ…?」

私の疑問の声に秀一は首を横に振る。

「まさか。本当は小さなアパートにでも住まう予定だったんだが、火事になってしまってな。協力者がここを貸し出してくれたのさ。」

「それは親切な協力者さんですこと。」

「嗚呼。近いうちに君にも紹介しよう。小さいが、頭は抜群に切れるボウヤをな。」

私はびっくりした。

小さな協力者…?秀一が認めるくらいだ、相当な切れ者なのだろう。興味が湧く。



「さて?そろそろその容姿と声のカラクリを教えてもらえないかしら?」

私がそう言うと、彼は自分の首元に手をかけ、一気に顔を剥がした。

え、剥がした…?!

細目でどこか柔和そうな雰囲気を醸し出していた男の顔はなくなり、あっというまに見知った顔が出てきた。目の下の隈も健在だ。

私は驚きのあまり、フリーズしてしまう。

「こういうカラクリだ。案外シンプルだろう?」

目の前には得意げに笑う秀一がいた。

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やっち(プロフ) - 終わりですか? (2022年6月25日 18時) (レス) @page43 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ayaさん» ハマっただなんて…!嬉しすぎるお言葉です!!これからいよいよクライマックスに迫ってくるので、是非楽しんでくださると嬉しいです(*^^*) (2021年6月14日 7時) (レス) id: e1d6d9168c (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - はじめまして!とても面白いくてめちゃくちゃハマりました!松田さんはどんな気持ちで天国から見てるのか気になります、、(;_;) (2021年6月13日 21時) (レス) id: 4bc46bbce4 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - 紗那さん» まさかあんな3秒クオリティの前文で興味を持ってくださるとは…!嬉しい限りです!!テスト頑張ります…泣 (2021年5月23日 22時) (レス) id: ffc33c4c65 (このIDを非表示/違反報告)
暁月真愛(プロフ) - ふくろうさん» 先日もコメントをくださってありがとうございました!おあずけしちゃいましたね…笑 是非楽しみにしていてくださると嬉しいです! (2021年5月23日 22時) (レス) id: ffc33c4c65 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:暁月真愛 | 作成日時:2021年5月16日 17時

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