嘘 ページ6
梨々愛side
「きみっ。何やってるの・・・?危ないっ!」
後ろで声が聞こえた。
少し高くて、とてもきれいな声だった。
振り返ると、ミルクティーのような髪色の男の人が立っていた。
少し驚きながらも、今ごろそんなこと考えてもしょうがない。と思い、
私は返事をすることなく、中に身を任せた。
痛いのかな?
少し怖かった。
でももう戻れない。
あとは落ちるのを待つだけだ。
体がフワッとする。
あぁ。私、死ぬんだ。
覚悟を決めて目をつぶる。
でも、いつまでたっても下には落ちなかった。
目をあけると、さっきまで立っていた屋上と、落ちる寸前に見たあの人の顔。
・・・顔?どうゆうこと?
びっくりして口が開きっぱなしになる。
まだ状況がわからない。
こういうときは、とりあえず聞いてみよう。
話しかけようとする。
「あの・・・」
私が話しかけると、男の人がハッとして、
「きみなにやってたの!危ないでしょ!」
いきなり怒られた。
でも私は冷静だ。
普段はもっと大きな声で怒鳴られたり殴られたりしていたから怖くない。
「夜景を見に来たんです。そしたらすべっちゃって・・・」
笑顔でヘラリと嘘をつく。
男の人は、そっか。という顔をした。
え?いまのでいいの?
自分で言っておいてびっくりした。
でもさすがにこの人も気づいたのか
「じゃあ、なんでくつ脱いでたの?」
と聞いてきた。
さあ、私はどう逃げ切ろうかな。
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作者名:未零 | 作成日時:2018年9月5日 21時