12話 貴方side「追想の過去」 ページ15
私は、ぽつりぽつりと、あの忌々しい記憶を語り出しました。同じことを何度も話すようですみませんが、聞いてくれますか？
過去編〜語りはAちゃん〜
あれは、5年前の１月。
「さむい……」
周りには年明けの賑やかな笑い声が絶えない。でも、私の家は違う。
貧乏で、食べていける余裕が少しあるだけ。
だけど本当は、不安なくらいお腹が空かなくて。
空腹のあまり気が狂ったかと思った。
今だって、薄い長袖一枚と黒いロングスカート。首には、白いマフラーを巻いているだけの格好で外を歩いている。なのにそんなに寒いと思えない。
それでも、少し寒さが和らいだのは、隣を歩く兄の存在だった。
亜麗「大丈夫だよ。ほら、もうすぐ小屋だから。」
A「うん……ごめんなさい、にいさん。また、追い出されちゃって…」
私の父は大して名も知れていない会社に勤めていて、今にも倒産しそうだったらしい。
そんな情緒不安定な父の心では、私達のような子供が邪魔だったのか、私達は毎日のように刺され、殴られ、蹴られ、追い出された。
痛い。傷が痛い。
痛い……？
なんで。だって
もう嫌ってくらいに慣れてるはずなのに。
痛いんだ……痛くて。体だけじゃない。
当時まだ5才だった私に、こんな感情理解出来なかった。
まぁ、私の中では生まれた時から父に優しくされた記憶など無いけど。
母は見てみぬフリ。時々嫌味みたいに
「いつまでいるのかしら」
って私達に言っていた。
だからいつでも、優しかったのは兄さん。
いつも私を庇って体が傷だらけになったり、心もすり減っているはずなのに。………それでも、
ずっと、大丈夫だよって言ってくれて。
私達、双子なのに。
妙に亜麗の方が年上っていうか、大人びた感じがして、兄さんって呼んでいた。実際は私の方が数秒年上なんだけれど。
亜麗「着いたよ。」
いつもの、隠れ家。秘密基地みたいなこの場所で私達は、家を追い出される度一夜を過ごす。
いつも通り粗末なマットの上に寝転ぶ。そしてまた決まり事のように繰り返す言葉。
「いつまでこんなことつづくんだろうね、にいさん。」
すると必ず
「がんばって耐えきれた日までかな。」
だから、私はこの言葉を信じて「耐えきれた日」を待っていた。
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実麗 - 黒い鉄格子さん» 返信遅くなってごめんなさい。すみません、直しておきました。 (2017年1月2日 23時) (
レス) id: f2902b880a (このIDを非表示/違反報告)
黒い鉄格子(プロフ) - えーと…こんな僕が言うのもなんですが……「オーマイダディ」の意味が少し違うので、直していただけますか…？急にスミマセン;; (2016年12月17日 17時) (レス) id: 48a7f11f6d (このIDを非表示/違反報告)
ふらわー - 実麗さん» 大丈夫だと思います。素早い変更ありがとうございました。 (2016年8月23日 0時) (レス) id: d71f037d63 (このIDを非表示/違反報告)
実麗 - 小麦粉さん» 変更させていただきました。これで宜しいでしょうか？すこし熟語など変わっていないかと思いますが、歌詞は使っていないので多分大丈夫かと。何かあればまた宜しくお願いします。 (2016年8月22日 8時) (レス) id: 9de189cdc6 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわー - 実麗さん» すみません、名前違いますが「小麦粉」と同一人物です (2016年8月21日 20時) (レス) id: d71f037d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：実麗 | 作成日時：2016年6月12日 20時
