黒と蝶4【伏黒恵】

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「空翔」







「……伏黒さん」








河原の草むらで膝を抱え、座っている空翔を見つけた









「……A、泣いてたぞ」









「……怒りにきたんですか？俺、悪くないですっ、……」








「……知ってる」







顔を伏せる空翔の隣に座り込む









「……A、いっつもそうなんですよ。大事なことは俺に何も言わない。









陸上辞めた時も、疲れたからって言ってるけど、本当は、俺のせいなんですよ」









Aも結構有名な選手だったんです









ポツポツと空翔は話し始めた









「俺が、サッカー始めて、運良く人よりも出来るせいで、色々、遠征とか金かかるようになってっ、……








だから、バイトする為に辞めたんですよ









でも、未練あること知ってる。今でも、シューズを大事に手入れしてるの知ってるっ！」









気にしないでって笑うのがオチで









何も感じさせないA








本当は1人で泣いてる癖に









我慢してる癖に









「なんであいつだけ背負わなきゃいけないっ？！俺は……俺は何もないっ……」









「そんな訳ない。Aは凄く迷ってた。お前に話すべきかどうか」









ほんとは莇さんにも話したい









でも、1番大事な家族は空翔だから、空翔だけには知っていて欲しい









とても辛そうに、悲しそうに語っていたA









「Aはお前のことめちゃくちゃ大事だよ。お前が1番の支えだよ。









だから、こういう選択したんだ。








未来に、お前の未来に不安を残さないように









お前の自慢の姉として、綺麗な記憶でいられるように」









「……」









ぐすっ、鼻を鳴らす音が聞こえる









ポンポンと空翔の頭を叩く









「………不器用だよな、お前もあいつも」

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