黒と蝶4【伏黒恵】

1話 ページ2

その日は私の誕生日だった






「Aは大きくなったら何になりたい？」





「Aはー仮面ライダーになりたい」







「そっかぁそっちかぁ」






優しいお父さん





「A、夕飯何食べたい？」






「お母さんのハンバーグ！！」






「おーし！頑張っちゃお！」





ふにゃっと笑うお母さん







「おかーさん抱っこー」







「ハイハイ、空翔は甘えんぼねぇ」







可愛い空翔









4人で私の誕生日プレゼントを買いに出掛けた帰りだった









アレが現れたのは








突然だった






お父さんは私たちを下がらせて、勇敢に立ち向かった








でも、数が多すぎたんだ








後ろから切り裂かれて








目の前で血飛沫が飛んだのを覚えている









私は寝ている空翔を抱きかかえていることしか出来なかった









座りんで





足が震えて








怖くて怖くて、涙が出てきて









「逃げなさいっ！A！空翔を連れてっっっ！」









その声すら分からないほどに絶望してた









そんな私をお母さんは庇ったんだ









急な攻撃すぎて防御が間に合わなかったんだ









深傷の傷を負って、もう立てない様子で









それでも最後の力を振り絞ってくれたよね







「お願い」








Aを守って







空翔、を、よろ、し、くね








その言葉を背に私はようやく走り出して







走って走って









気づいたら何も覚えていなかった









そうか








そうだった

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