addict 3 (ページ34)

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都合のいい言い訳をしてAを抱き締めた

『聞こえる？』
「さっくんの声は聞こえるけど雷は大丈夫」
『じゃあ良かった』

雷の音がどんどん小さくなっていく
雷雲が遠くなってきたんだなぁ

「まだ鳴ってる？」
『うん、鳴ってるねー。長いね』

ほんとはもうほとんど聞こえなくて
多分Aでも大丈夫なくらいになってた
離したくなくてついた小さな嘘

しばらくそのままでいると
「さっくん」
『んー？』
「さっくんの心臓の音、こんな早いの？」

あ、やべ

『あー、うん』

いい言い訳が浮かばなくて、『うん』しか言えない

「雷、さすがに止まってるよね？」
『うん』
「じゃあ、」って離れようとするAを
離すもんかと閉じ込める

「ちょっ、さっくんっ」
『嫌だ』
「えぇ？なに？どういう事？」
『まだダメ、危ない』
「えぇ？笑危ないってなにが？笑」

しばらく大人しくしていたAが動き出して
逃げようとするから力を入れると
「痛いよ」って言われて思わず離した

「さっくん？」
『ごめん』
「大丈夫だよ、雷もう鳴ってないねー」
『うん』
「ありがとう、今日もさっくんが居てくれて良かった」
『うん』

「何か変だよ？さっくん」
『……』

そりゃ変にもなるよ、好きな子抱き締めてさ
ドキドキしてるのにも気が付いてももらえない
ただのお友達止まりなんだから。
鈍感過ぎるんだよ、Aは

この関係が壊れるのが嫌で想いを告げられずにいる
俺は意気地無しなんだけどさ…

「ねぇー？おーい？」
『 Aは、分かってなさ過ぎる』
「どう言う事？」
『あのさ、俺Aの事好きなんだよ』
「えぇ！？」
『何で気が付かないかな…』
「まじ分かんない、え、私！？」
『雷鳴るタイミングで何回もAんち居るって
普通ないでしょ。友達同士で抱き締めるような事する？
俺の心臓普段はあんなに早くないし』
「あ…」
『心配だから雷の予報が出てて、来れる日は来てるし
守ってあげたくて抱きしめたし、好きな子抱きしめたら
ドキドキもするよ』

「全然気が付かなくてごめん…」
『そんな鈍感な所も好きだから』
「そ、そうなんだ…」

困らせたくて言ったんじゃないのに
困った顔をするAを見て
言うんじゃなかったなって思ってしまう
でも、口に出してしまった言葉は
相手に伝わった言葉は取り戻せない