最後の推し 2 (ページ26)

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『あ！』
「びっくりしたぁ、なに」
『今、あいつAちゃん触った』
「え、まじ？」

触ったと言うか、あいつがふらついて
それをAちゃんが支えると言うか
手を差し伸べたって感じなんだけど

「なぁ、顔。怖いって」

アイツが何かしないか心配で見に来たけど
知らぬが仏って言葉があるみたいに
知らなかった方が良かった事もある

「帰る？」
『んー』
「とりあえず、俺トイレ」

翔太がトイレに行った後、Aちゃんも立ち上がり
トイレに入って行った

頼むから鉢合わせないで！

少しするとLINEが来た

『まだお仕事かな？頑張ってね
私はもうちょっとしたら解散になるよー』って

飲み会中でも俺の事気にかけてくれて
わざわざ連絡くれる

あー、まじ好きだわ

戻って来た翔太に
トイレで鉢合わせなかったか聞くと
大丈夫って

少し遅れて戻ってきたAちゃんは
さっき居た場所とは違う位置に座った

離れた、良かったって思ってたら
Aちゃんと目が合った

慌てて目を逸らし『お前、バレただろ』って問いただすと
「すまん」って

『目、合った』
「まじ？笑出たらばったりさー笑」

『大ちゃん、なんでいるのー？』ってLINE
「Aちゃん？」
「うん、なんでいるの？って」

あはははって笑う翔太に
笑い事じゃないって伝え
「ごめんなさい」って返す

場所も時間も聞いといてたまたま。
なんて言い訳は通用しない気がして
素直に謝罪した

「俺が誘ったって言ってあるから、一応。
てか、実際そうだし」
「たまたま俺が予約したのがここって言えばいいんじゃん？」

そうかもしれないけどAちゃんに嘘はつきたくない

「帰ったら正直に言うわ」
「良い彼氏じゃん笑」なんて言われたけど
彼女の飲み会見に来るって良い彼氏か？

『帰るか』
「バレたしな笑」

『先に出るね、家で待ってる』とLINEを送り
店を出てタクシーを捕まえようとしていたら

「待って」って声をかけられた

『え、な、なんで！どしたの？』

「渡辺さん、こんばんは」って翔太に挨拶する
Aちゃんを横目に俺はプチパニック

「迎えが来たって先に帰らせてもらった」
『え…』
「そろそろ終わる感じだったし！」

「じゃあ、俺帰るわ！Aちゃんごめんねー」
「全然大丈夫です！」

「じゃあねー」とちょうど来たタクシーに乗る
翔太を2人で見送る

「あ！もしかしてこの後2人で予定とかあった？」
『んーん、ないよ。俺らも帰ろっか』

次に来たタクシーに乗り込み2人で帰路に着く