迷ヰ犬達ノ紡グ物語 (ページ21)

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File21:電話(ちょこれーと工場）ページ21

「ええっ、襲撃に来きたの？」

「はい、そうなんです」

液晶画面を耳に当て、話す。通話の主は武装探偵社の賢治君だ。

「大丈夫だったの？彼の人だよね？大丈夫じゃないんじゃ……」

「目的は、敦さんだったみたいで。探偵社の方は大丈夫でした」

「敦さんって？」

はい、と賢治君の元気な声が聞こえる。

「新入社員の中島敦さんです！虎に為ることが出来るんですよ！」

人虎？区の災害指定猛獣の？ ……そんなの居て大丈夫なのか？
などと考えているうちに、声は響く。

こんな異能者が居るだなんて！矢っ張り都会は凄いです！

……賢治君、其れは関係ないんじゃ。
でも、此の様子なら大丈夫なんだ。

「じゃあ、賢治君も先輩だね？頑張って？」

「頑張ります！」

……可愛いなぁ。

賢治君が、はっとして思い出したように言い出す。

「そういえば、此の襲撃、今日で二回目なんですよ」

「はい？」

「ポートマフィアの方が来られていて。陽菜音さんがいらした時と被ったんですよ」

「……あ、そうなんだ？」

それ以上は判る。察する。陽菜さんチートだし顔広いし。

……いやあ、そもそも武装探偵社に襲撃していくこと自体が自殺行為……。

……月観射さんは別として。

「じゃあ、切るね。御休み」

「御休みなさい、千月さん」

賢治君とは普通に話せるのになぁ……。
裕君とも、全然話せるのになぁ……。

……彼の人は、無理なんだよな……。