迷ヰ犬達ノ紡グ物語 (ページ2)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:5,018 hit

Fine2:合流(橙咲智歌) ページ2

コツリ、コツリと足音が響く路地裏。
角を曲がれば、其処には真っ黒な外套に身を包んだ肌の白い男と、女性物の黒いスーツを着ている金髪の女がいた。
男は芥川龍之介、女は樋口一葉だ。
「ごほっごほ…遅かったですね。ヴァニッシュ・マフィアの副首領、名月千代さん。」
芥川がたった今足を止めた女に声を掛ける。
その女は、名月千代と言った。
「嗚呼、済まないな。ポート・マフィアの特攻部隊隊長、芥川殿と、樋口殿」
自分に声を掛けられると思っていなかったのであろう樋口は慌てて背筋を伸ばし、「い、いえ！とんでもありません！」と答えた。
「却説、作戦の確認をするぞ。」
3人は作戦の確認に入る。

作戦内容はこうだ。

先ず、樋口が依頼者を装って探偵社に侵入。
その後、人虎以外がいた場合にもそのまま此の路地裏へ誘導。
出口側に立ち、人虎を捕らえる。
捕らえた後芥川等に連絡をし、銃で威嚇射撃。
その後、芥川等で人虎を生け捕りにし、帰還する。

「…以上だ。芥川にはその前に交番の爆破任務がある。
　手早く済ませてくれ。」

「御意」

二人が返事をして、芥川が爆弾入りの鞄を持ち歩いて行った後、樋口が口を開いた。

「あの、名月様…」

「何だ」

「宜しいのですか？幾ら任務と言えど、人虎は貴女の…」

「其れが何だ。」

弟、と言おうとした樋口の言葉は遮られた。
驚いて顔を上げた樋口に名月は其の儘告げる。

「弟だとして、其れが標的ならば仕留めるのみ。
　…それに、」

其処で一度区切り、口許を卑しく歪めて見せる。

「たった一人の肉親に攻撃を仕掛けられた顔を、見てみたくてな。」

樋口を置いて其の儘去っていった名月。
呆然と樋口は呟いた。「…性格悪」と。

其れが聞こえた名月は笑って言った。

「そりゃどーも。」

＿＿＿＿＿＿＿＿

弓月ごめん！
前のページで名月が「私」って言ってたからそこだけ直しちゃった！