【派生】采を投げて、転がして。【ヨコハマのイレギュラー達】 (ページ2)

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第1章 han'nyara youjo!! ページ2

斜めにさす、太陽━━所謂(いわゆる)、斜陽を見ながら息を吐いた。
本来ならば見えたであろう橙色の空は残念乍ら雲で隠れていて、地面も何も暗いままだ。
目の前に立つ怯えている青年を見て嗤いかけた。
そして、其の儘青年の喉元を掻っ切る。
血が溢れでる。頬についた返り血を手で拭う。
コレハ、チガウ。この人は、違う。
僕が本当に殺したいのは、もっと……。
もっと、殺しがいがあって、もっと強い人だ。
まだ幼い時に逢った彼(あ)の人…。
今でも16と、幼いは幼いのだろうが私が彼の人と逢ったのはまだ僕が森杏奴だった時の、まだ8つの子供だった時だ。
16となった今でも、殺しの快感が忘れられない。
殺人は僕にとって日常だった。
この現象がなんというのか、それは解っていた。
所謂、パブロフの犬。要は条件反射の様なモノだ。
日常的に殺人をしていたから、だから、殺人は飽く迄日常的なものであると脳が身体に誤信号を送っているのだ。
まぁ、少し違うのだが。論理的にはそういう事だ。
世界は、広い。僕がもう一度彼の人に逢えるかも解らない。
それでも、僕が、否…私が彼の人にもう一度、ただもう一度だけでいいから。
「貴女が私の全て」だと云ってくれることを望んでいるからなのだろう。
条件反射よりも、パブロスの犬よりも、私が彼の人を殺したい理由はある。
好きだから、殺したいのだ。
ジョン･スタインベック。初めて私に、僕の孤独に触れてくれた人であり、僕の初恋の相手。
正直に云うと島崎さんより好きかもしれない。
まぁ、そんなことはどうでもいいのだ。
取り敢えず、今は目の前の死体は放ってていいとして……。
死体が持っていたこの何やら怪しい薬をどうするか、だ。
取り敢えず、黎霞には絶対飲ませるとして……。
他に飲みそうな人、はいないな。
自主的に飲んでくれる人がいたら吃驚(ビックリ)だ。
却説、どうするか……。