32話 ページ32
「Aを大切にしてくれてありがとう。、私、本当はね。付き合うのはいいけど、結婚は違う人としてほしいと思ってたのよ。」
え?
「多分、すごく話題になるでしょ?」
「あ、はい。おそらく。」
そうなんだ。SNSあまり見ないからわからないけど、芸能人が結婚するとテレビで取り上げられてるのは見たことあるかも。
「でも、結弦くんなら、Aのこと守ってくれそうね。」
「もちろんです。仕事にも日常生活にもメンタルにも影響が出ないように必ず守ります。」
「A、あなたも守られてるだけじゃダメなんだからね。」
わかってる。
私だってちゃんと自立しなきゃいけない。
「うん。」
「じゃあ、タクシー手配してもらってくるわね。」
そう言ってお母さんが部屋から出て行くと、結弦さんがこっちに寄りかかってきた。
「え、ど、うしたの?」
「よかった、、。緊張した。」
え?
「すごい落ち着いてたし、緊張してないのかと思ってた。」
「緊張するに決まってんじゃん。Aの家族に認めてもらいたいし、お父さんもお兄さんたちもめちゃめちゃ怖かったし。」
それは、ごめん。
「お兄ちゃんたち、悪気はないと思うの。ごめんね。」
「わかってる。俺だってこんなに可愛い妹いたら、心配すると思うし。」
そんな。大袈裟な。
「いろいろ、ありがとうね。これでひとまず家族も安心したと思う。」
「よかった。Aは家族を大事にしてるでしょ?Aが大事なものを俺も大事にしたいから。」
私が大事なものを大事にしたいか。
なんでこんなに優しいんだろう。
「え、A?泣いてる?、ごめん。何か変なこと言った?」
え、私泣いてる?
「ほんとだ。、ごめん。嬉しくて。」
あ、お母さん帰ってきた。
「ふふ。仲良しね。これ、結弦くんに。」
お土産?
「食べた気しなかったでしょう?家でゆっくり食べて。」
お母さん。さすが。気がきく。
「ありがとうございます。嬉しいです。」
「タクシーもうすぐ来るみたいだから、お先にどうぞ。」
「すみません。では、失礼します。」
この後どうしようかな。まだ、2時か。
「A。この後時間ある?」
「あ、うん。あるけど。」
「ちょっとお買い物しましょうよ。久しぶりにお洋服見にいかない?」
楽しそう。
「行きたい!」
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作者名:かれん | 作成日時:2022年9月8日 16時