1話 ページ1
台本はなくても、話の順番は決まってた。たしか始めは自己紹介から。
「はじめまして。プロスケーターの羽生結弦です。」
「KASE開発研究所、研究員の花咲Aと申します。本日はよろしくお願いいたします。」
仲良いのに初めましてのフリするのって結構キツイな。
「本日のテーマは新しく発売されるスキンケアラインのキキョウということですが、花咲さんは研究開発に携われたんですよね？どのようなことに着目したんですか？」
「お肌が綺麗な方は肌のキメがとても細かくて整っているんです。なので、肌のキメを整えるための成分を沢山組み合わせて、若々しい透明感のある綺麗な肌になるような効果が得られるスキンケアの開発を行いました。」
肌のキメか。なるほどね。
「こちらをご覧ください。こちらが肌の綺麗なひとの肌を拡大したものです。ここに3角形のものが沢山あるのがわかりますでしょうか？」
「あ、はい。三角形の集合体みたいですね。」
「そうなんです。これがベストな状態です。」
俺の肌見て思いついてたし、こういう感じに近いのかな。
そうだ。聞いてみたいことが。
「KASEさんの商品は、どれも花の名前ですね。今回はキキョウなんですか？」
「はい。そもそもなぜ花の名前なのかというのは、創業者の理念にあります。花はどれも美しいけれど、同じ美しさではない。ひまわりは薔薇のようになれませんし、逆もまた然りです。でも、どちらも美しいですし、それぞれに良さがあります。、人と比較してしまいやすい世の中ですが、自分らしさを貫いてほしいという思いから、商品は全て花の名前になっています。」
そうなんだ。素敵な考え方。
「今回のキキョウという商品は花言葉が誠実であることから来ています。誤魔化したりすることなく、効果が出るという自信の表れでもあります。是非ご期待ください。羽生さんは何か好きな花はありますか？」
「そうですね。具体的な花というわけではないんですが、過去に滑ったプログラムの中に花になれや春よ来いというものがあります。プログラムはどれも思い入れがあるので、僕の中の花のイメージはその辺りですかね。花咲さんは好きな花はありますか？」
すみれとかそういうイメージあるかも。
「私はかすみ草が好きです。私が初めて研究に携わったのが羽生さんも使ってくださっているかすみ草シリーズなんです。」
なんか、
「お互い、仕事大好き人間すぎますね。」
「そうですね。」
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作者名：かれん | 作成日時：2022年9月8日 16時
