9話 ページ9
ー羽生sideー
食事を始めてしばらくしてからも、なんとなくよそよそしさを感じていた。
会うのは2回目とはいえ、もう少し距離を縮めておきたい。
どうしたもんかな。
すると、花咲さんが、
「あのどうかしました?」
と少し心配するような顔で言ってきた。
この際ストレートに言ってしまおう。
「もう少し、距離を縮めさせてほしいです。2歳差ですし。」
表情が読めない。もしかしたら、嫌だったのかも。
「私、適応能力が高いので、合わせますよ。」
合わせるっていうことは、こちらが距離感を縮めれば、花咲さんも縮めてくれるということ?
だとしたら、
「Aちゃんと呼んでもいい?」
と言うと、笑顔になって、。
「うん!」
と大きく頷きながら言ってくれた。
「Aちゃんはなんて呼んでくれるの?」
「私の方が年下だから、結弦さんって呼ばせてもらおうかな。どうでしょう?」
ほかの人にあんまり呼ばれないタイプの呼び方かも。
でも、これはこれであり。
「うん。じゃあ、それで。」
まずは友達のポジションから、どんどん仲良くなれたらいいな。
ー−−−−−−
ーあなたsideー
昨日は、夢のような時間だった。
聞き上手だし、ほめ上手だし。本当に一緒に過ごしていて気持ちがよかった。
「花咲さん、」
わ、びっくりした。チーフ。気配無く背後に立つの心臓に悪いし、やめてほしい。
「はい。なんでしょう。」
「申し訳ないんですけど、こちらの研究お願いしてもいいですか?」
そう言ってチーフが差し出してきたのは、新しい研究の資料。
これ、社の一大プロジェクトだったような気がしていたけど、入社2年目の私に頼んでいいのかな。
「専門ではありますが、私では力不足じゃないでしょうか。」
「大丈夫。花咲さんはもうすでにたくさん結果を残しているし、私としても安心して任せられるわ。よろしくね。」
嬉しい。認めてもらえたんだ。社の一大プロジェクトで、かなりの販売数をもとめられてるっていうことだし、頑張ろう。
私の研究結果をお客様の美肌に役立てたい。
ー羽生sideー
アイスショーの練習の休憩中、この前のことを思い出していると、
「ねえ、今日めちゃくちゃテンション高くない?どうしたん、ゆづ。」
と言ってのぶくんが寄ってきた。
そんなにわかりやすいんだ、俺。
114人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かれん | 作成日時:2022年7月17日 15時