42話 ページ42
「私でよければ、やらせてください。」
「お願いします。色々調べたんですけど、今回の商品は商品開発部さんにとってもすごくいい自信作みたいですし、沢山のお客様に届けられるように頑張ります。花咲さんもお願いします。」
「はい。頑張ります。」
そっか。そうだよね。
いつもは商品ができればそれがゴールだと思ってたけど、会社としてはお客さまに届くまでがゴール。
お客さんに届く瞬間なんて考えたことなかったけど、大切なことなんだよね。
ー羽生sideー
今頃食事会してるのかな。
「羽生さん、今日は随分とそわそわしてますね。」
え？そんなにわかりやすい？
「あ、これ頼まれてたものを。スチーマー使い始めるなんて、なんか肌の調子悪いんですか？」
「これ使うと調子いいんですよ。だから家にも。」
あ、、
これじゃまるで今まで誰かに借りてたことを暴露するみたいだ。
気づかずにスルーしてくれればいいけど。
「え、今まで誰かに借りてたんですか？」
えーっと。
「姉、姉です。」
「花咲さんですよね？」
バレたか。
まあ仕方ない。
「そうです。花咲さんの家に通うよりはスチーマー買った方がいいですよね？」
「そうですね。あ、私反対してないのでいいですよ。気にしなくて。」
あ、そうなんだ。
「でも、通うよりは通ってもらった方がいいですね。羽生さんのマンションはセキュリティ的にもしっかりしてるので。お付き合いされているんですか？」
「いえ。まだです。」
近い将来必ず。
「花咲さんはホイホイ付き合ってくれるタイプの人ではなさそうですよね。今日ソワソワしているのは花咲さん関連ですか？」
相談してみよう。マネージャーさんの方が一般の人の感覚に近いだろうし。
「ご飯に行ってるんです。この前の役員の浅川さんと。」
「え？この前は断ってましたよね。」
「はい。そのあと電話が来て。会社帰りにと誘われたみたいです。」
「それは、完全に羽生さんのライバルですね。」
やっぱり。
「でも、いいじゃないですか。ライバル1人ぐらいいても。」
「え？」
「今まで何人のライバルと競い合ってきたんですか？ライバルが1人ぐらいいないとテンション上がらないのでは？」
いやいや。
「勘弁してください。スケートと恋愛は違いますよ。」
「冗談です。お詫びにいい話をお伝えしておきます。」
いい話？
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作者名：かれん | 作成日時：2022年7月17日 15時
